【グース250】ペイント工程を一挙公開・後編【テールカウル】

塗装の知識と実践
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 皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。

 今回はグース250のテールカウルペイント後編です。

  ※前編はこちら↓

【グース250】ペイント工程を一挙公開・前編【テールカウル】

 前回の続きである、サーフェーサーの塗装からご紹介していきたいと思います!

 それではいきましょう!

③脱脂及びセッティング

 下地作業が終わったパーツはこんな感じです。

 写真のように部品を塗る時はこういった何かしらの台に載せてあげると良い感じです。今回は木片と板を合わせて作りました。一度しっかり作ってしまえば、次の仕事でも使い回しが効くのでなるべくしっかりと作ってあげます。そして、塗装用の紙を巻いてセット!塗り終わったら、紙を剥げば何度も使えます。

 部品をセットしていざブースへ!塗装前には必ず脱脂を行います。うるさく何度も言ってますが塗装に油分は大敵です。

 この際に、指や腕などが触れて脂が付かないように気を配りながら脱脂を行います。脱脂後はこのカッコいい(?)イオンブローガンでエアブロー。こいつはイオンを帯びる事でパーツの静電気を除去してくれます。なので、ホコリが付きにくくなるんですね。

 そして、タッククロス!コレはベタベタした粘着性のある布で、表面のホコリなどをくっつけてくれるんです。イオンブローガンとタッククロス。塗装前には必須の作業です。地味な所ですが、めちゃくちゃ大切なんです。

Bitly

④プライマー塗装

 では、プライマーを塗装していきます。プライマーの役割としては主に密着性の向上です。全体にサラッと軽く吹き付ける事でサーフェーサーの密着性を向上させてくれます。

 他にはエッチングプライマーというのもあって、こちらは鉄などの金属系のパーツ専用のプライマーです。こちらも同様に密着性を高めるのですが、防錆効果という大きな役割りも持ちます。これを吹かないと、下からサビが出てくるなんて事もあるかもしれません。

 プラスティックプライマー塗装後、少し乾燥させてからサーフェーサーの塗装に入ります。

⑤サーフェーサー塗装

 サーフェーサーは基本的には3回吹きます。1回目は軽ーく染まる程度に乗せます。いきなりガバッと入れるとチヂレを起こしたり、下の異常に気づけなかったりするので、まずは軽くです。

 そして、2回目、3回目でしっかりと塗り込みます。サーフェーサーをしっかりと入れる事で肌を滑らかに平滑にする事が出来、うっすらとした歪ならカバーする事も可能です。

 又、パーツによっては塗料との相性もあって、素地の状態からすぐにベースコートを入れると不具合を起こす可能性もあります。なので、サーフェーサーを入れるというのは安全策であり、クオリティの向上にも繋がります。

 なお、場合によってはサーフェーサーを塗装しない事もありますが、この辺はケースバイケースで適切な判断が必要になってくる場面です。

⑥サーフェーサー研ぎ

 サーフェーサーが完全に乾燥したらサーフェーサーを研いで色を入れる為の下地を作ります。サーフェーサーの研ぎ方も色々あるのですが、今回は耐水ペーパーで水を掛けながら研ぎを行いました。

 まずは、600番相当で目の細かいアシレックスシートで肌を慣らします。表面の肌を早くフラットにする為に最初に軽く全体を研いであげると、効率的です。

 その後を水をジャージャー流しながら1000番の耐水ペーパーで研いで行きます。

 耐水ペーパーは良く研げるのですが、その分深い目(カッターで切ったような鋭利な目)を入れやすいので注意が必要です。またこの際、柔らかめの当て板を添えて研いであげると表面の細かな歪みもとれていい感じに仕上がります。

※こちらも併せて読んで頂くと、より理解が深まります↓

サーフェーサーの研ぎ方を細かく解説!〜ウェット?ドライ?部分サーフェーサー?〜

 肌がしっかり研がれてフラットになったら、アシレックスシートの800番で目を細かく整えます。耐水ペーパーで研がれた目って若干荒いんですよね。深い目も思いがけずに入っている事もあるので、800番のシートで研ぐと良い具合に、きめ細かい研ぎ目になります。

 又、入り組んだ部分は耐水ペーパーが入らないですからね。こいういったシートで細かい部分は研いであげると良いでしょう。

 800番が終わったら裏側も研ぎます。『裏って必要?』と思うかもしれませんが、やった方が安心だし、ウチはプロとしてやらせて頂いているので、基本的には必ず裏側も研いで色を入れます。

 サーフェーサーが飛んでいるところはザラザラするので、耐水ペーパーで軽くザラつきをとってあげます。

 そして、表面と裏面の仕上げにユニウール(表は1500番、裏は800番)にウォッシュコンパウンドをつけて洗うように全体に当てていきます。こうする事で、更にきめ細かな目が入り、塗料の乗りが良い、理想的な下地の状態を作ることが出来ます。更に、脱脂洗浄効果もあるので、安心ですね。

⑦塗装

 ではでは、ここからは色の塗装に入っていきます。前述したように脱脂とエアブローが終わったら裏側から塗っていきます。パーツによってはかなり入り組んだ部分もあったりするので、スプレーガンのパターンを絞り、細かく吹いて、なるべくしっかりと隅々まで色を入れます。

 裏側の塗装が終わったらしっかりと乾燥。この後、又セット台にくっ付けて表を塗るので、ここでの乾燥があまいと、セット台から外す時に塗料が剥がれたりするので要注意です。

 表になったら色をいれます。今回は黒!シンプルながら美しい色ですよね。大体、3回くらいに分けて塗っていきます。1回目は先程のサーフェーサー同様に軽く拭いて、2回目3回目でしっかりと染めるイメージです。

 塗り終わりはこんな感じ。

 この後は最後のクリアコートです。

 クリアコートもうちでは3回入れます。1回目は軽く、2回目3回目でしっかりと肌を出して塗るって感じですかね。クリアコートは仕上げなので、今まで以上にゴミの付着には気をつけます。白いパーツに黒いゴミとか入ったら目立ちますからね。

 又、しっかりと肌を出すというのもポイントです。肌ってなんだ?って思う方もいるかもしれませんが、要は表面の状態ですね。つるっとしてるのかゴツゴツしてしまっているのか。ゴツゴツしてしまうと磨きの工程で研ぎ慣らさないといけないので、綺麗に塗りたいところですね。

 ただ、綺麗に塗ろうとしてクリアを入れ過ぎると、今度は表面が垂れて水滴のようになってしまう事もあるので、ここがクリアコートの難しいところかもしれません。ギリギリ垂れないくらいの肌が1番綺麗とも言われています。

で、今回の塗り上がりがこんな感じ。スタンドックスのクリアコート自体が高性能なので、深みも艶もあって良い感じに仕上がったと思います。

 その後、熱をかけて乾燥させます。ただし、急に熱をかけると塗料内の溶剤成分が抜け切らずに表面が蓋をされてしまい、沸き(プツプツと細かな気泡のようなものが表面に出てくる現象)やツヤ引け(ツヤが引けて従来の光沢が出ない事)といった不具合を起こすこともあるので、この辺は気温や状態を見ながら判断していくポイントになります。 

⑧磨き

 最終工程の磨きです。

※こちらも併せて読んで頂くと、より理解が深まります↓

磨きで塗装のクオリティは断然上がる!!〜本格的な磨き方を教えます〜【No.1】

 塗装屋さんによっては塗り肌が1番としてあまり磨かないショップさんもありますが、ウチではしっかりと磨いて、更に綺麗になるように仕上げていきます。

 まずはブツ取りですね。3000番程度のバフレックスシートでブツを研いで慣らします。この際、研ぎ過ぎて肌を完全なフラットにしてしまうと、そこだけ鏡面仕上げみたいになって目立つ事もあるので、周りの肌と合うように違和感なく研いであげるのがポイントです。

 又、今回はやりませんでしたが、肌を調整するのも磨きの大切な役割です。クリアコートをして、一部周りと肌の感じが合わないって事もあるので、この辺も違和感ないように全体に上手く馴染ませてあげると綺麗に仕上がると思います。

 ブツを研いだらコンパウンドとウールバフで磨いていきます。コンパウンドは3Mのこちら。目消し・肌調整用と仕上げ用の2工程で済むタイプになります。コンパウンドも種類が多くて、個人でやろうと思うと色々悩むと思いますが、この辺りを使っておけば間違いはないでしょう。(個人で買うにはちょっと高価ですが…)

Bitly

 黒はちょっとした動作ですぐにキズがつくので、慣れていないと綺麗に磨き上げるのが大変な色かもしれません。その分、曇っていたりキズが入っているのが分かりやすいとも捉えられます。その分、綺麗に磨き上げた時の具合は個人的には1番好きかもしれませんね。

 1番のコンパウンドでしっかりと磨き上げたら2番の仕上げ用コンパウンドとスポンジバフを使って仕上げのポリッシュ。仕上げの磨きは軽く磨くイメージですかね。

 全体にしっかりと当てるのですが、研磨力は弱いのでツヤを出すってイメージで隅々まで当ててあげると美しく仕上がると思います。

 そして、仕上げにプラチナファイナルというオーロラ除去と艶出しを兼ねたコーティング剤で軽くポリッシュしてフィニッシュです。

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●自動車塗装のオーロラマークを解消し、深いツヤが抜群の仕上げ用光沢剤です。

まとめ

 ここまで読んで頂くと分かると思うのですが、塗装というのはいくつもの工程を経て仕上がっていきます。そのどれもが大切で、どこかでミスがあると最後まで残る事も多々あります。なので、一つ一つの工程で手を抜かず、しっかりと気を遣いながら作業を進める事がとても大切です。


 この記事を読んで、皆様のDIYに活かしてもらったり弊社に興味を持って頂けたら幸いです。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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