【グース250】ペイント工程を一挙公開・前編【テールカウル】

塗装の知識と実践
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 皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。

今回はご依頼頂いたグース250のテールカウルのペイント工程を、解説を交えながらご紹介していこうかと思います。

 ここを読んで頂ければ、基本的なペイントの流れを理解する事が出来ると思うので、DIYで挑戦したい方なんかにも是非最後まで読んで頂きたいなと思います。

 又、こういった作業をしてくれるなら安心!と弊社の塗装に興味を持って頂けたら、幸いです。

 それではいきましょう!

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グース250ってどんなバイク?

 まず今回の依頼ですがグース250のテールカウルのペイントです。グースといえば91年にスズキからデビュー。

https://ja.wikipedia.org/wiki/スズキ・グース

 油冷の4ストロークSOHC単気筒エンジンを搭載したネイキッドスタイルのオートバイですね。キツめのポジションと積載性の低さから見てとれるように、かなり走りを意識した作りのようですね。しかし、当時はレプリカブーム。スペック上は本家レプリカには及ばず、その中途半端感から販売台数としては伸び悩んだ歴史があるようです。ただ、サーキットでは未だに使用されている事も多く、なかなか面白いバイクといった印象です。

 今回のオーナーさんも主にサーキットで使用されているとの事。その中で転倒をしてしまい、左側カウルを損傷。今回の依頼といった経緯になります。

 サーキット使用であれば、多少割れていたりキズが入っていても使用される方も多いとは思うのですが、今回のオーナー様は綺麗な状態で走りたいとの事。車両への愛を感じられますね。

 割れてしまったテールカウルは修正する事も可能だったのですが、新品購入と修正費用がそこまで大差ないので、今回は新品での購入を勧めさせて頂きました。

 しかし、最近では旧い車両のパーツは色が入っていないプライムパーツ(無塗装品)である事も増えてきたようで、今回のグースもそれに該当する為、ウチでペイントをさせて頂きました。

 テールカウルの左側が綺麗になると反対側とセンターのカウルとの差が出過ぎて目立ってしまうので、今回はテールカウル一式のペイントです。経年劣化か進んだ外装はそれに合わせて同じようにペイントする事は困難なので、隣接している場合はまとめて塗ってあげた方が仕上がりも良く、トータルで見ても美しく収まると思います。

 それでは具体的な作業工程に入っていきます。

塗装工程

①脱脂洗浄

 まず、作業に入る前に脱脂洗浄を行います。今回のパーツは比較的綺麗でしたが、中には汚れが目立つ場合もあります。特にフェンダーなどは裏側が汚れている事が当たり前なので、しっかりと綺麗に洗ってから作業に入ります。

 汚れや油分が残っていると、作業中に他の箇所に広がり塗装の不具合を引き起こす原因になるからです。又、表面を綺麗にする事でそのパーツの状態が目視でしっかりと確認出来る様にするのも目的の一つです。

 凹みや塗膜のワレ、キズなどは汚れていると見えにくいですからね。まず綺麗にする事でそういった見落としを防ぎます。

②サンディング

 テールカウル右側の部品から作業に入っていきます。

 ※以前に書いたこちらの記事も合わせて読んで頂くと、より理解が深まると思います。

塗装の下地って何するの?〜基本のアシ付けからサーフェーサーの下地【No.1】〜

 こちらは旧い塗膜を全てサンディング剥離していきます。理由としては塗膜の劣化やキズの多さですね。

 おそらくもう30年近く経っている外装なので、クリアコートは濁っており、このままペイントをすると表面が溶けて異常な反応をする事も考えられます。そういった場合は塗膜を全て落としてから塗装する方が安心です。

 キズ自体はそこまで深くないのですが、全体にあるのでこれも塗膜を落とした方が良い理由にあげられます。こういったキズって案外しつこいんですよね。一見大した事なくても、最後までこのキズが引っ張ることもあるので、初期の段階で確実に落としておくのが基本です。

 ツールとしてはダブルアクションサンダーをメインに用います。ダブルアクションとは、円形のパッドが中心に対して回りながら周っている(自転しながら公転しているような感じ)のでダブルアクションなんです。

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 ダブルアクションの特徴としては細かな研ぎ目が付く事ですね。適度な研磨力を持ちながらパーツを痛めないように塗膜を削り落とせるので、我々塗装屋さんが最も使うエアツールのひとつだと思います。

 今回はそれに180番のペーパーを貼りつけて塗膜を落としていきます。あまり荒い番手だとプラスティックパーツに深いキズを入れたり、角を削り過ぎて形を変えてしまう恐れがあるので、これくらいの番手が適正だと思います。(※慣れていない方はもう少し細かい番手もアリです)

 塗膜を削っていくとこのようにになっているのがよく分かります。この場合はプラスティック素地→ベースコート(黒)→クリアコートの順になっています。リペイントされていたり、多色塗りされている場合はこの層が何層も重なっているのでサンディングに時間を要す事があります。

 ハーレーのカスタム系の塗装は10回以上も塗られている事があって、かなり大変だったのを覚えています。なので、それに比べれば、今回のは比較的薄い塗膜と言えるでしょう。

 ある程度180で削ったら番手を240にあげます。この時点で大体の塗膜は落として切れています。その後320番まで上げてサンディングはフィニッシュです。

 細かな穴周りなんかもこのように極力落としてあげると安心ですね。特に穴周りは塗膜が厚くなるとボルト締めの時に割れる可能性が高くなるので、落としてあげます。奥まっていて落とし切れないところも、なるべく削ってその後のプライマーやサーフェーサーでシールする事で、後の工程で悪さをする事は、ほぼ無くなるでしょう。

 このままサーフェーサーの塗装に入れそうな見た目をしていますが、もう少し表面の研ぎめを整えてあげたいので、アシレックスシートの600番(荒め)とユニウール320番相当で目を整えてあげます。これらの材料は柔らかいので、入り組んだ部分のアシ付けにも適しています。又、目視でしっかりと確認しながらアシをかけて行くことで、ワレや傷がないか等の最終的な確認作業も兼ねています。

 そして、裏側もアシ付けを行います。縁の部分をスプレーガンで狙うと裏側にも塗料のミストはかかってしまいます。そこにアシ付けがされてないと、後で剥がれの原因になる事も考えられるので、この時点で裏側もしっかりとアシ付けを行います。

 これで、ドライでの作業はフィニッシュです。最後に表面を綺麗にしたいので、味付け研磨剤、脱脂洗浄を目的としたウォッシュコンパウンドなるもので水洗いします。

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これによって更に細かな目が入り、表面も綺麗に脱脂されるので次のサーフェーサー塗装の工程にばっちりと入る事ができるようになります。

 他2点も同じように下地作業を行なっていきます。

 左側のカウルに関しては塗られていないので、このままベースコート(色)の塗装に入れそうですが、他2点と同じ条件にする為、又いくら新品パーツといえ、細かなキズがあったりフチに成形上のバリがあったりする事もあるので、320番でアシ付けを行い同様にサーフェーサーを塗装します。

 プラスティック素地にそのまま色を入れる方が工程を1つ省けるので効率的ではあるのですが、前述の理由の他にも艶引け(物体が塗料を吸ってしまい、クリアコートの艶がひいてしまうこと)したり、場合によってはチヂレ(塗料が異常な反応をしてひび割れのようにシワシワになること)たりする事もあるので、ウチでは積極的にサーフェーサーからの塗装を行っていきます。

 次回に続きます。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

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