【プラスティック】カウルの割れや欠損はこうやって直す!【プロの修正方法】

塗装の知識と実践
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 皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。

 今回はプラスティック部品の割れ、欠損の修正方法について細かく書いていこうかと思います。

 プラスティックは多くのオートバイに使用されており、立ちゴケやスリップなんかでも比較的簡単に割れてしまったりします。あとは、経年劣化。旧車や中古車なんかは結構割れていたりしますよね。そして、そのまま気づかずに爪が割れて何処かに…なんて事も。案外そのまんま乗られている方も多いようですが、カウルがガタついたりするので直せるなら直したいですよね。

 という事で実際の現場ではどうやって直しているのかを解説しながら、DIYでも直せるようにポイントを解説していきます。それではいきましょう!

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部分を綺麗にして状態をよく見る

 まずは、部品を綺麗に洗うか拭くかして汚れを落としましょう!部品が汚れていては正確に状態を判断する事は出来ません。ここをいい加減にやってしまうと後で『ここも割れていた!』なんて悲しい事態になる事もあります。

 なので、部品をシリコンオフや洗剤等で綺麗に洗い脱脂して何処が割れているのか、そしてどこまで割れがあるのかをしっかり確認しましょう。

 当たり前に感じるかもしれませんが、どんな作業も入り口がとても大切です。

周辺の塗膜を全て落とす

 割れや欠損している部位を把握したら周囲の塗膜を落とします。これは、この後に使用する樹脂を確実に部品に密着させる為です。塗膜を落とさずに上から樹脂を盛っても結局密着しているのは塗膜なので、理想的ではありません。

 そして、事故等で部品が割れている場合は強い衝撃を喰らっているはずなので、塗膜も割れている可能性が高いです。つまり割れている塗膜の上に樹脂等で覆ってしまう事になるので、結局後で割れが出てくる可能性が非常に高いです。

作業途中です。本当はもっと拡げた方が良いですね!

 これは経年劣化等で脆くなって割れてしまった部品にも言えます。こちらは衝撃は受けていないにしろ、塗膜が相当のダメージを負っているはずなので、上から樹脂等を盛る事だけではなく、そもそもペイントする事も避けた方が良い状態のはずです。なので、こちらは周辺とは言わずに全ての塗膜を落とした上で再度ペイントや修正を進めるのが理想的です。

 部品の大きさや形状、割れの状態によりますが最低でも修正箇所から数センチは周りの塗膜を落としてあげて下さいね。

ケース毎のサーフェーサーの下地方法【No.2】〜剥離剤やキズ修正を行った場合〜

※こちらでサンディングのやり方を解説しています

ハンダゴテで溶着する

 塗膜が落ちたら、まずは修正箇所を綺麗にする為エアブローや脱脂を行います。どんな作業もですが、一つ終わったら綺麗にして次に行くのは基本ですね。

 ハンダゴテはしっかり温めて置かないと効率が悪いのでアツアツにしてから作業をします。

 割れている部品をペンでなぞるようにグーっと溶かしていきます。この時、力加減をミスると貫通して穴を開けてしまう事もあるので注意が必要です。

 欠損した部分をくっつける場合でも基本は同じですが、こちらは裏側もやります。ぐるっと一周溶着させる感じですね。欠損を補うものは同じ素材(プラスティックにはプラスティック)でなるべく同じ厚みのモノが理想的です。それを最終的な形に削ったりカットして本体に溶着させます。オークションなどでジャンク品のカウルなどを安く購入するのが良いかもしれませんね。

 部品はすぐに冷えて固まると思いますので、しっかりくっついているか軽く曲げたりして確認しましょう。モノによってこれだけでも案外しっかりくっつくんですよね。

 冷えて固まったら隆起した部分を研ぎ落とします。すると割れがくっつきその部分が堀のように溝になって残ると思います。これでOK!次のステップです

 DIYで材料があまりない方やスピードを求める方はこのままパテ等を盛っても良いかもしれませんがあまりオススメしません!修正した部位は脆くなっているし、そもそも割れやすい部位である可能性もあります。このままパテを盛ってもその場は良いとしても後々割れてくる事も考えられます。なので、せめて後述する樹脂等は使った方が良いかと思います。

裏からワイヤーメンダーを打ち込む

 これは割れを直すための特殊な工具です。相当車やバイクが好きじゃないと持っている方はいないと思いますが、コイツがかなり強力です。

 仕組みとしては電気の力でこのクリップに熱を持たせ、部品に打ち込む(溶かし込む?)んです。たかだかこんな小さなクリップが?って感じかもしれませんがコイツを使えば同じところが割れてくるというのほぼ無くなるでしょう。車のバンパーなんかの修正にも使うので、小ぶりで軽量なバイク部品であればとても心強いと思います。

 このように裏側から数ミリ間隔で何本が打っていきます。これも力加減を誤ると貫通させてしまうので、気を抜かないように。

 良い感じにクリップが打てたら余計な所はカットします。それでも根本が残ると思うので引っかかるところはベルトサンダーなどで丸く落としてあげると良いでしょう。

樹脂を盛って補強する

 なぜにパテの前にこれを使うかというと補強の為です。プラスティックに使うバンパーパテは弱くはありませんが、特に強度のあるパテではありません。パテだけで済ませてしまうのは心許ないので、こういった専用の特殊な樹脂を使用してあげる事でがっちりしっかり固定されます。

 パテとは扱いが若干違ったりするので、使用する場合は取説をよく確認した上で進めて下さいね。ちなみにコイツはこういった専用ノズルに装着して使用します。レバーを握り込むと主剤と硬化剤が押し出され出口付近で混ざり合うように作られています。

 これを修正箇所にのせて、先程の溝に押し込んであげてください。そして、後で研ぎやすいようにヘラで綺麗に整えます。バンパーパテよりは厚く盛れますが、柔らかいので過度の厚盛りは出来ません。まあできても無理にやっちゃダメです。中に空気が入って膨れたり硬化不良か起きたりしますので。

 この時のポイントがしっかりはしごきづけを行う事。ヘラを立てて樹脂をしっかりしごき付ける事で強く密着してくれます。部品の表面は120番or180番といった荒めの番手で仕上げておくと良いでしょう。しごき付けが甘かったり、逆に番手が細か過ぎると後で剥がれたりするので要注意ですね!

 表が終わったら裏側も忘れずに。裏側は見ないところなので先程のクリップが埋まるくらい多少厚く盛ってあげても良いでしょう。その方がしっかり補強されます。

 この後しっかり乾燥!乾燥時間はものによって違うので何ともいえませんので、取説をよくチェックして下さいね。焦らずに的確にがとても大切です。

樹脂を研ぐ

 樹脂がしっかり硬化したら研いでおおよその形を出してしまいましょう。パテだけで整形するのは強度的に良くないと前述しました。なので、樹脂を研ぎ過ぎないようにしながら、大体のカタチ(8割完成くらいのイメージ)をだします。この時、樹脂の密着具合も確認します。際の方を爪とで引っ掻いてみて下さい。めくれ上がらなければOKです。

パテで仕上げる

 ここまで来ればあとはパテを盛ってしっかりと成形してフィニッシュです。

ケース毎のサーフェーサーの下地方法【No.4】〜パテの研ぎ方をしっかり解説〜

※パテの詳しい研ぎ方や扱い方はこちらに書いてありますので、併せて読んでもらえればと思います。

 見えなくなるようなところ(爪の部分など)はパテを研ぐ際、無理に残さずに下から樹脂が出てきてもOKです。この後のサーフェーサーでカバーできます。

 見えるようなところは念のためパテでカバーしてあげた方が安心です。樹脂だと巣穴が空いたり際の段が目立ったりします。

 パテを研いで仕上がれば、修正作業はフィニッシュ!次のサーフェーサーの工程に入れます。

 

まとめ

 以上がプラスティックの割れ、欠損の修正方法になります。ワイヤーメンダーによる修正は購入のハードルが高いので、躊躇うかもしれませんが他のセクションのハンダや樹脂だったら比較的購入しやすいと思うので挑戦するのも面白いと思います。

 仕上げるには時間と手間のかかる作業ですが、手順を踏んで正確に行えれば綺麗にしっかりと仕上げられます。

 今回はプラスティックパーツの修正方法です。FRPはまた違った作業になるので、こちらは別の機会に書いていきます。プラスティックとFRP、間違えないようにしてくださいね。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。

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