みなさんこんにちは。FLAG-UPの中島照文です。
今回は2021の1月からスタートした林業とオートバイのコースを掛け合わせた森林フィールド『森輪』について書いていきたいと思います。
2023年4月にプレオープンを控えた森輪ですが、いわゆる一般的なオートバイコースとは違う、林業としての側面も強く持ったフィールド作りを目的としています。
『林業との掛け合わせとは?』と疑問に感じられると思うので順を追って書き進めていこうと思います。
それではいきましょう!
はじめに。山に関わろうと思った理由
この構想が浮かんだのは2020年ごろだっと思います。
当時僕はオートバイのペイント工場を退社し、今後のことを色々と考えていた時期でした。
ペイントショップとしての独立は頭にはあったものの、コロナ渦という事もあり不安も大きかったのを記憶しています。
その時にもう一つの道として浮かんできたのが林業でした。
ウチは現在のFLAG-UPがある神奈川県相模原市緑区に30ヘクタール程の山林を所有しています。
そこで、木を切って売って生活していけないかな?と素人ながらに考えたわけです。
父親は造園業を営んでいたのですが、自分の山から切り出した木材をデパートのクリスマスツリーや舞台の材料などとして卸したりしていたそうです。
しかし、僕が幼少期の頃に事故で他界。
あまり仕事の詳しい話をする人ではなかったようで、そこからは山の事は身内でもよく分からない状況になっていました。
当然、僕も幼過ぎたので状況が分からないまま大人になっていきました。
『なんかウチに山があるらしいよ。よく分からんけど笑』そんなノリです。
そんな感じだったので、山を仕事にするとは考えた事もなかったのですが、仕事を辞めて空いた時間にふっと思いついたわけです。
自伐型林業を学ぶ
でも、全くのど素人です。どこから何をすれば良いのかさっぱりわからない!
とりあえずGoogleさんで『林業 自分の山』とかで検索して出てきたのが地球の仕事大学というNPO法人でした。
そこでは、林業や農業、伝統工法など色々な事を学べるという事で早速『自伐型林業学部』に申し込み!ギリギリでしたが、無事に入学することが出来ました。
※「自伐型林業ってなに?」という方の為に貼っておきますね。
以下引用
自伐型林業とは、これまで推進されてきた『所有と施業を分離した、森林組合や業者に施業を委託する施業委託型林業』と異なり『小規模の限られた森林の永続管理とその森林から持続的に収入を得ていく林業』のことです。
森林の経営や管理、施業を山林所有者や地域が自ら行う、自立・自営型のごくごく普通であり当たり前の林業ですが、考え方とスキルを学びある程度の経験を積めば、副業でも専業でも収入を得ることが可能です。
収入を上げる施業(専業では年収400万円以上)と良好な森づくりを両立させる、地域に根ざした非常に優れた環境保全型林業です。次世代の地球環境のためにも人生をかけて取り組むに値する魅力あふれる職業と言えるでしょう。
https://chikyunoshigoto.com/department/jibatsu/
そこでは僕と同世代くらいの方々が多く、今では地域おこし協力隊や森林組合等で活躍されています。又、講師の先生のお一人は、僕と同じように自分の山を活用出来ないか?という所からこの業界に入ったらしく、色々と相談に乗って頂きました。本当にありがたい環境です。
その中で林業の技術や知識、考え方等を学び、自分の山でこれが出来たら良いなぁ。なんて考えていました。
カリキュラムも終わりに近づいた頃、今後の事を話す相談会で講師の先生に『ウチの山を見てほしい!』とお願いし、自分の山で自伐型林業に取り組みたい旨をお伝えしました。
講師の先生は奈良県吉野で代々山林経営をしている経営者。こんな出会いは中々ないですからね。
この件を快く引き受けてくれた先生には本当に感謝しかないです。
ちょっと厳しいかもしれない…
後日、期待と不安が入り混じる中、講師の先生がいらしてくれました。一通り山の中を歩き、地形や樹種、樹齢など色々と見て頂きました。
そして下山後
『ちょっと厳しいかな…』
おぉ、まじか笑
広さはそれなりにはあるものの、専業でやるには面積が足りない事。急峻な地形で木材の搬出が大変な事。高値がつくような立木が少ない事が主な理由でした。
また、一般的にも木材の価格はピーク時に比べて半値以下になっている事もあり収益化が難しいとの事でした。
言いづらい事だっと思うのですが、はっきりと言ってくれた事は今でも本当にありがたいなと思います。
話を聞いたその時はちょっと凹みましたが、すぐに『じゃあオートバイを走らせよう!』と思いついたわけです。これが『森輪』の始まり。経験もツテもなんにもありません。アホですね。笑
普通に木を切って売るような林業が無理なら、フィールドとしての活用方法を探るしかないと思ったわけです。
エンデューロコースに向けて動きだす
じゃあ、それをするにはどうするか?技術も経験も未熟です。
それならば…
『よし、林業会社に入ろう!』
思いついてからは早かったですね。地球の仕事大学のカリキュラムが終わる頃には、林業会社でアルバイトとして使ってもらっていました。
その頃は林業の勉強、ペイントショップオープンに向けての準備など日々忙しかったのですが、とても楽しかったですね。
正直な所、始めは林業orペイントショップで独立の2択だったんです。2つはキツいよなっという事で。でも、前述の事もあって結局1番しんどい両方やるという形になったわけです。笑
でも、これが1番楽しいというのは分かっていたし、この判断のおかげでグワっと世界が広がりました。
じゃあ何から始めようか?という事で、とりあえず出会う人出会う人みんなに『山でオートバイを走らせたいんだ!』って言ってました。言いまくっていました。笑
オープンに向けての準備もあり、身体が中々動けなかったのでとりあえず口だけでも、と言う事です。
ツテも何もなかったのでオープンしたら少しずつ進めていくつもりでした。初めは1人でも、いつか仲間が出来るだろうと思って5年10年スパンで考えていたんです。
でも、この後予想外の出会いによって話は一気に進みます。
石戸谷蓮 選手との出会い
『中島さんに会わせたい方がいるんです!』
地球の仕事大学の関係で繋がった、神奈川県で議員さんをやられている方から連絡がありました。その方はトレイルランやアドベンチャーレースなどをやられている方で、山の活用方法を色々と相談させてもらっていました。
おおー!こんな事あるのか!めっちゃ近所でこんな方がいるのか!とひたすらにテンションが上がった事を覚えています。
その後、実際にお会いして色々な話をしていく中で…
石戸谷選手『山あるんですか?』
中島『ありますよ!』
石戸屋選手『走らせて下さい!』
中島『喜んで!』
確かこんなノリでした笑
この出会いのお陰で、具体的なスタートを切る事が出来ました。
初めは3人で山に入り境界の確認作業を行いました。僕も自分の山とはいえ、入った事もないし経験も浅いのでどこがどこだか全く分からない。地図を頼りにお二人について行く感じでした。
何回か山を確認して、これならコースとしてやれるんじゃないか!?という風に言って頂けたので一安心。
でも、1番大変だったのが契約や認可の件でした。
山林活用のハードル
山というのは公益性が伴います。ましてウチの山は神奈川県の大切な水源地域です。
神奈川県の山の多くは【水源林協定】や【分収林契約】【協力協約】など、それぞれ内容の違う契約を結んでいる場合があります。又【保安林】など、開発行為に制約がかかるエリアもあります。
いくら山主とはいえなんでもかんでも好きに出来るわけではないんですよね。正直この辺はちょっと甘く見ていました。持ち主だからもっと簡単に話が進むかと思っていたんです。
県の担当の方々と話を進めて行く中で色々なご意見を頂き『ああ、これじゃダメだ』と、山林整備も含めた林業的な側面をもっと真剣に考えていかないといけないなと思うようになっていきました。バイクで山を走って楽しい!だけじゃなく、水源地域としての役割を果たし、山の環境の事をもっと考えたフィールドじゃないと、長くは続かないのかもしれないと。
そこで舵を切りました。
山林整備を行いやすくする為の道作り。崩れそうな斜面の土留め。雨水の流れを分散する工作物の敷設。枯れた木などの伐採。間伐材の活用などなど。
コースとしては必要ない事も積極的に今後の方針に取り入れる事にしました。こうする事で地域や関係者の方々、その他の人たちにも認めてもらい、たくさんの方に見てもらえる山にしたいなと思ったのです。
そういった事もあり、無事認可も取得。
又、地域の方々への説明会も同時に進めていました。行政側がOKでも地元の方からの承諾が得られなければ進められませんからね。
始めは難色を示している方々もいました。しかし、これらの整備内容を知ってもらう事で承諾を得ることができたので、やはり舵を切っといて正解だったなと思います。
そして、2022年5月、開拓をスタートする事が出来るようになったのです。
最後に…
僕は、今後こういった『山林のフィールド利用が広がれば良いな』という風に思っています。実際、僕がそうだったように山への関心は年々薄れていってるように思います。何世代も上の方々が『子孫の為に』と、残し育てた山でも『よく分からない』『お金にならない』と無関心になったが故に、荒廃していく事もあります。
でも、逆にフィールドを求めている人たちも大勢いるわけです。そういった方々とのマッチングによって、新しい価値を生み出せるのではないかと考えています。林業会社や行政ではなくとも、イチ山主と業界を引っ張れる人、それを支持してくれる仲間で作り上げていくと言うのは僕は非常に魅力的だと思っています。
『ウチの山でも出来るかもしれない?』と誰かに思ってもらえるかもしれませんからね。これは凄い大切だと思います。
今後、山に人が入る事で良い点も改善点も出てくると思います。その都度、知恵を絞り汗を流し、この山に関わった人がそれを自慢出来るようなフィールドにしていく事、そして、良いモデルケースになれる事が目標です。
今回の活動が、少しはオートバイや林業の業界に貢献出来たら嬉しいな!
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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