皆さんこんにちは。aohitoです。
前回は発電方法と点火装置の話をしました。
今回はその続きの点火装置の種類とガソリン・オイルの基本について解説していきます。
それではいきましょう!
フルトランジスタ式
従来の、点火方式から機械的な要素を取り除き、各種センサーによって点火タイミングを決めるようになったのがこの方式です。
この方式はエンジン回転数に応じて最適なタイミングで火花を飛ばす事が可能で、放電時間も自由にコントロールする事が可能です。後述するCDI方式との違いがこのポイントとなります。
こういった特徴から、点火エネルギーが大きいので大排気量エンジンに適した点火方式となっています。又、安全機構が内蔵されている事もあり、点火系で何かしらの異常が発生した場合、火花をカットする事も可能です。
コントロールユニットには電源回路、パルスジェネレーターからの信号を処理するパルス入力回路、記憶・演算回路を含んだマイクロコンピュータが内蔵されています。
基本的な点火原理としては、バッテリーをメイン電源とし、イグニッションコイルの一次側を通り、トランジスタに電圧がかかります。そして、パルスジェネレーターからのパルス信号によってトランジスタがON/OFFされます。一次側電流が急に絶たれた事によって、2次側に高電圧が発生しスパークプラグに火花が飛ぶといった仕組みになっています。
まとめると…
①エンジンが始動するとパルスジェネレーターからパルス信号が送られる
②パルス入力回路からマイクロコンピュータへ信号が送られる
③マイクロコンピュータは信号を受けて、クランクシャフトの位置とエンジン回転数を演算
④エンジン回転数に応じた点火時期のデータを記憶回路から取り出して決定
⑤トランジスタへベース電流を流す
⑥トランジスタはベース電流を受けてON/OFFを繰り返し、スパークプラグに火花を飛ばす。
こんな感じになります。簡単に言うとコンピューターがクランクシャフトとエンジン回転数を判断して、火花を飛ばすタイミングを決めているって言う感じです。
AC-CDI点火式
CapacitiveDischargeIgnitionの略で日本語に直すと、容量放電型点火装置と言います。
上記の説明ではコイルに貯めた点火エネルギを放電する事で点火させていましたが、CDIではコンデンサを用います。
ACGに設けられたエキサイターコイルから点火エネルギとして100~400Vの交流電流が送られてきます。それをCDIユニット内のダイオードで整流されコンデンサに蓄電されます。
特徴として、二次電圧の立ち上がりが早く、スパークプラグのくすぶりや汚れに強いです。又、エンジン回転数に応じて電圧も高くなります。そういった所からプラグがかぶり易い2ストローク車に使われたり、小型排気量車に多く使われています。
DC-CDI点火式
こちらは点火用コンデンサをエキサイタコイルでチャージングするシステムとは異なり、バッテリーを電源として、チャージングします。
基本電流をバッテリーとしたことでエンジン回転数に影響を受けず、安定した電圧をイグニッションコイルに供給することが可能です。又、昇圧回路を設けた事も安定化に繋がっており、バッテリーからの電圧は12ボルトから約220ボルトまで上昇してコンデンサへ送られます。
以上で点火系基本の解説を終えます。 どの方式も元の電圧を大きく高め、それを更に瞬間的に高めることで強力な火花を生み出しています。 年数を重ねるたびに改良を加え、進化してきたのがわかってもらえたらと思います。
燃料と潤滑系
では、ここからは燃料と潤滑のお話になります。
オートバイも車をガソリンがないと走りません。又、潤滑剤(エンジンオイルなど)の重要性も、これまでの記事を読んでいただいた方には理解してもらえたかと思います。
ここでは、この辺りをもう少し詳しく説明していきます。ここでいう燃料や潤滑剤の元となるものは石油です。石油の主成分としては、炭素と水素の混合物で、硫黄や窒素、酸素なども含まれています。
地中から採取したままのものは原油と言い、その状態では燃料にも潤滑剤にも用いる事は出来ません。なので、蒸留する事で石油製品として利用することが可能になります。
その時、沸点の違いを利用してガソリンや灯油、軽油に重油、LPガスやアスファルトなどを取り出していきます。ちなみにガソリンは30℃~200℃で取り出すことが出来ます。その後、硫黄や水分などの不純物が含まれているので精製が行われます。
燃料
燃料中に含まれる可燃成分が燃えると多量の熱が発生しますが、これを機械運動として使用します。
単位量1㎏のガソリンが完全燃焼するときに発生する熱量を発熱量と言います。
又、燃焼によって発生したガスの中に水蒸気が含まれている場合、水蒸気は冷却すると凝縮熱が発生するので、それを合わせた発熱量を高発熱量と言います。しかし、実際のエンジンでは水蒸気は高温のまま放出されるので、凝縮熱を得ることは出来ません。この場合を低発熱量といい、実際の計算の際にはこちらを用います。
この辺は整備士にでもならないと関係無いので忘れてもらってOKです。(笑)
ガソリンの精製
ガソリンの精製方法として、蒸留法と分解法があります。
蒸留法
読んで字のごとく原油を直接蒸留することによって得られるものです。この製法によって得られるガソリンを直留ガソリンと言います。しかし、直留ガソリンはオクタン価が低いので自動車用としては不向きです。
分解法
灯油や軽油などを触媒によって化学反応させ、再蒸留させたもので、これによってオクタン価を高めたものです。
他にも、分解ガソリンにナフサなどを化学反応させた改質ガソリン等があります。一般的に販売されているガソリンは分解ガソリンや改質ガソリンをベースに、直留ガソリンや天然ガスガソリンを配合したものです。
ガソリンの性質
ガソリンにはエンジンの性能を十分に発揮させるための性能が要求されます。
オクタン価
オクタン価とはガソリンのアンチノック性を表したものです。ハイオクタンガソリン(ハイオク)はオクタン価が98程度と高く、並級ガソリン(レギュラー)は91程度となっています。オクタン価を高める事で高圧縮比でもノッキングを起こしにくくなります。それにより、エンジンの圧縮圧力を高める事が出来て、エンジンの熱効率の向上を図る事が可能となります。
※アンチノック性…燃焼室での異常燃焼の起こし難さをいいます。
揮発性
ガソリンを燃焼させる為には液体を気体に変え、空気と混ざり合わなければいけません。
しかし、揮発性が高すぎるとベーパロック(ガソリン中に気泡が発生する事)を起こして、エンジンの要求通りにガソリンを送る事が出来ません。逆に揮発性が低過ぎると、始動性や暖気性の悪化に繋がります。
なので、ガソリンにはこのどちらも満たす揮発性が必要です。
酸化安定性
酸化安定性が優れているガソリンは長期間放置していても、変質や劣化を起こし難いです。この酸化安定性はオクタン価、揮発性と共にガソリンにとって最も重要な求められる性能となっています。
ガソリンは酸化すると、ガム質のネバネバを作ってしまいます。また、オクタン価も低下して酸化により生成された物質によって燃焼形の金属を腐食させたりします。特にガム質の生成は問題とされています。
経験がある方もいらっしゃると思うのですが、長期放置されたキャブレターなどに、こびりついたアレです。デロデロになってジェットなどを詰まらせてしまいますからね。
添加剤
そこで、ガソリンには各種、添加剤が含まれています。
・酸化防止剤
先ほど述べたようにガム状になると厄介なので、そうならないようにする目的で入っています。
・洗浄剤
貯蔵中に劣化するのを防いだり、カーボンやスラッジになるのを防ぐ為に、添加されています。
・金属不活性剤
ガソリンには金属イオンが微量ですが含まれています。その中でも銅は特にガソリンの酸化を促進させてしまうので、金属イオンを不活性化させて貯蔵の安定性を高める為に入れられています。
以上で燃料の基本は終わりです。 ここでのポイントはオクタン価かなと思います。 バイクに合ったガソリン(ハイオクなのかレギュラーなのか)を入れないと、ノッキングを起こしやすくなったり、ガソリン代が余計にかかったりするのを頭に入れておきましょう!
※ガソリンに加える添加剤です。燃料系を洗浄してくれるので、古くなった車両や始動性が悪い時などに試してみるのも良いのではないでしょうか?
潤滑剤
ここからは潤滑系のお話になります。
そもそも潤滑の目的とはなんでしょうか?
潤滑の目的は、摩擦を減らし動力の損失を防ぐ事です。又、同時に摩耗破損などを防ぎ、冷却する事も大切な要素です。
①減摩作用
物体が触れ合った状態で運動すると、そこにはかならず摩擦が発生します。潤滑剤はこの接触面に油膜を作り、摩擦を低減させます。
②冷却作用
これもとても大切な作用です。摩擦があれば、必ず熱が発生します。潤滑剤はこの熱を吸収する役割も持っています
③防錆作用
金属の表面に薄い油膜を作る事で、空気や水分と直接触れる事を防ぎサビの発生を抑える事ができます。冬場など、長期乗らない時などはサビを抑えたい所に塗布しておくのも良いでしょう。
次回は潤滑系(エンジンオイル)について解説していきます。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました♪
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