塗料の成分と硬化の方法、塗装のシステムについて

塗装の知識と実践
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 皆さんこんにちは。FLAG-UPの中島照文です。

 前回に引き続き、塗料の成分から硬化について、そして塗装のシステムを解説していきます。

塗装の目的と基本【そもそも何故塗る必要があるの?】
始めに…  皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。  今回は「塗装の目的と基礎知識」です。皆さんも経験ございませんか?ヘルメットやカウルを塗ってみたりした事。私は10代の頃によくヘルメットをデザインしてペイントしたりしていまし...

 自分で塗装をやってみたい人はこの辺の知識を知っておいた方が良いでしょう。基本となる知識なので知っておいて損はないと思いますよ。

 又、塗装はやらないよ!って人も塗膜の知識があると、傷をつけた時とか、普段の手入れでも役立ちますので、是非覗いていってください。

 それではいきます!

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塗料の成分(続き…)

②顔料

 顔料は樹脂に次ぐ2番目に大切な成分になります。樹脂は基本的にはほぼ透明で、塗膜性能に影響するものですが顔料は色や機能を付けるものです

顔料は素材によって分類すると無機系と有機系に分けられる

無機系:岩石や金属を加工した天然資源を元に作られる。

有機系:炭素を主として人工的に作られたもの。(石油化学合成品)

 と、なります。色味も有機系の方が鮮やかに対して、無機系は少し濁り気味であったりします。

顔料を機能で分類してみると

着色顔料:塗料に色を与えます。メタリックやパールなんかもここに位置付けられます。

防錆顔料:サビを防ぐので表面処理に使われます。よくエッチングプライマーなんて言うものがここに該当します。成分としてはリン酸亜鉛やリン酸アルミです。

体質顔料:鈑金の時につかうパテなどがここに該当します。これで体積を確保し、凹みなんかを直すわけです。

特殊な着色顔料

 特殊な色どりをもたす着色顔料です。メタリックやパールが一般的によく使われています。メタリックの原料は「アルミ」で、それを細かくしたものです。大きさや形状、加工の違いによって種類が年々増加してきている為、最近の調色は正直大変です。(笑)

 他にはガラスフレークというのも有り、その名の通りガラスを細かく加工したものや、マルチカラーなんていうのもあります。角度によって様々な色に見えるアレです。日本ペイントさんがネーミングしたマジョーラと言えばピンとくる方もいらっしゃるかと思います。

③溶剤

 塗料の成分としての溶剤とは樹脂を溶解する役割を持っています。又、塗装作業時の粘度を調整したり、乾燥の速度を調整する為にシンナーを使います。

 シンナーとは溶剤を色々混ぜたものをいいます。夏場の塗装ではシンナーを多めに入れたり、冬場は逆に減らしたりして乾燥を調整します。

 この辺の判断は難しい所なので、場数を踏んで上達していくしかないかなと思います。

④添加剤

 添加剤は塗料の性能を安定させるためのものです。レベリング材やハジキ防止剤、消泡剤や紫外線吸収剤などなど。色々なものが使われています。

塗料の硬化

 塗料ってどうやって乾燥させるのでしょうか?プロのペイントショップではなければ基本的には放置ですよね?ちょっと細かく説明してみます。

溶剤蒸発型

 塗料の中の溶剤が蒸発して硬化するものです。主にラッカー系の塗料がこれです。最も単純な硬化方式で乾燥性に優れています。ただ、これがデメリットでもあって早く乾くのは良いのですが、そのために塗膜表面が伸びて平滑になる時間がないのです。なので、表面が荒れやすくツヤが少ない状態になったりします。

重合型

 塗料の中の溶剤が蒸発するのに加えて樹脂が硬化剤(ハードナー)と化学反応(これを重合と呼びます)して硬化します。主にウレタン塗料ですね。反応熱を持って常温でも乾燥しますが、やはり時間はかかります。そういった場合は熱を掛けて、反応を促進したりします。

熱重合型

 塗料の中の溶剤が蒸発しつつ、高温によって樹脂が反応して硬化させます。粉体塗装や電着塗装なんかもここに該当します。分子同士が結びつくので、非常に強力な塗膜になります。ただ、加熱しなければ塗膜にならず、温度も150℃くらいまで上げることもあるので、粉体塗装を行わない一般的なペイント屋さんではあまり無いでしょう。

光硬化型

 光の波長によって反応、硬化します。つまり、太陽光や紫外線を当てる事で硬化させる塗料です。光を当てなければ硬化しないので、その間は自由に形状を変化させる事が出来るのが特徴です。パテやプラサフ、クリアーなどで開発されているそうです。

主な硬化としては、これらがあげられます。
皆さんがご自身で塗装された場合は基本的には放置でOKです。
理想を言えば日の当たる所(サンルームとかあるとイイですね)に置いて硬化を促進してあげると良いかなと思います。

塗装の方法

 塗料は塗装されて初めて製品となるので、半製品ともいわれます。そして塗装方法は様々です。

手塗り:外壁などでよく見かける刷毛やローラーを用いた方法

吹付け:スプレーガンやエアゾル(缶スプレー)を用いた方法

ディッピング:塗料で満たされたプールに漬ける方法。主に新車の製造ライン等で用いられる

 等があります。カスタムペイントなどではマブライザーや、ラッピング、レタリング、リーフ貼り、エアブラシなど、様々な技法があります。この辺は別記事で紹介していきますね。

 では、一番オートバイと関係がありそうな吹付塗装について、もう少し。

エア・スプレー方

 この方法ではスプレーガンか缶スプレーが一般的かなと思います。塗装というと、まずこのやり方が頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。これをエア・スプレー方と呼びます。

 原理としては霧吹きと一緒で塗料を圧縮空気によってミスト化して飛ばします。実はこの方法、塗着効率(飛ばしたミストに対して、どれだけ塗装面に到達しているのか)があまり良くないのですが、取り扱いが簡単で、安価。なおかつ、幅広い塗料に対応出来るので広く普及しています。

 エアゾル(缶スプレー)は内部に圧縮ガスが封入されていて、ボタンを押すとのそのガスの圧力で塗料が吹き出されます。なので、この方法に分類されます。ただし、缶スプレーは圧が弱い為、綺麗に平滑に、膜圧を保たせて塗るのは中々コツが必要かなと思います。

エアレス・スプレー方

 塗料自体に圧力をかけてミスト化して吹付ける方法です。塗料の吐出量が多いので、塗着率は高いです。しかし、複雑な形状のモノを塗る場合、仕上がりが劣ります。なので、車のシャシや建築用に用いられます。

静電塗装

 これは一般の人が使うことはまず無いでしょう。一般的な液体の塗料と、ホイールやエンジンなどによく使われる粉体の塗料、両方に使われます。言葉の通り、電気の性質を利用した塗装方法になりますが。まず小学校の理科のおさらいです。

電気は⊕同士、⊖同士は反発し、⊕と⊖は引き合う。

 ですね?この原理を塗装に応用したのが静電塗装です。塗料が⊖の電気を帯びる事で反発しあい、ミストとなります。そして被塗物が⊕の電気を帯びる事で塗料と引き合い、塗装されるという仕組みになっています。塗着率が高く、仕上がりも美しいので新車の中塗りや上塗りで使用されています。

電着塗装(ED)塗装

 これは新車の下塗りで用いられている方法で、EDとはElectrordepositionの略です。ボディーを塗料が入った大きな槽にそのまま漬ける事で塗装します。この時、ボディーを⊖、塗料を⊕にすることで塗着率を高め、隅々まで塗装されるようにしています。

ボディーを⊖、塗料を⊕にした方式をカチオン電着といい、ボディーを⊕、塗料を⊖にした方式をアニオン電着といいます。カチオン電着の方が膜厚に優れ、防錆力も高められるので、現在はカチオン電着が主流です。

塗装のシステムと種類

 では、実際我々が自分のオートバイを塗りたいとなった時、どういった手順を踏めば良いのでしょうか?細かな方法の前に塗装のメカニズムについて、紹介しておきます。ここを、理解していないと折角きれいに塗装しても、剥がれてしまったり、おかしな痕が出てきたりと後の不具合の原因となるのでしっかりと理解しておきましょう。ここでは分かり易くする為、一般的な新車の塗装工程を例に挙げていきます。

塗膜とは?

 塗膜というのは層になっています。下から順に、素地→下塗り→中塗り→上塗り→クリアコートというのがソリッド(1色だけで構成されている色、普通の黒とか赤とか青の事です)の場合は基本です。

 パールやキャンディ、特殊なメタリック等はこれに工程が増えていく感じになります。 塗料の種類や吹き方によって当然変わって来ますが、全工程を踏んだ塗膜の厚さは約110~140ミクロン程度です。コピー用紙が100ミクロン程度なので、かなり薄いですね。

 次回に続きます。

塗装工程と補修用塗料について
皆さんこんにちは。FLAG-UPの中島照文です。  今回は、前回の続きから  塗装の種類や補修用塗料についての解説です。  それではいきましょう! 下塗り  プライマーという塗料を塗装する工程です。防錆効果があり、次に塗装される塗料の密着を

 ここまで、読んで頂きありがとうございます♪

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