塗装の目的と基本【そもそも何故塗る必要があるの?】

塗装の知識と実践
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始めに…

 皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。

 今回は「塗装の目的と基礎知識」です。皆さんも経験ございませんか?ヘルメットやカウルを塗ってみたりした事。私は10代の頃によくヘルメットをデザインしてペイントしたりしていました。

 今思うと、とっても恥ずかしい仕上がりでしたが、面白がって夢中になってやっていたのを覚えています。

 そういった経験もあって現在は、塗装の仕事も行っています。今でも仲間内で『自分のバイクは自分で塗りたい!』というチャレンジャーも多くいるので、そういった方々の為にもここで、色々な情報を載せていきたいなと思います。全部を読み終えたころには自分のバイクなどをビシっと塗れるようになった頂けたら幸いです。

それではいきましょう!

塗装の目的「何で塗らなきゃいけないの?」

 塗装とはそもそも何の目的があって行われるのでしょうか?よくよく考えれば世の中は色がついているものだらけですよね。当たり前過ぎて考えてみた事って案外無いんじゃないでしょうか?

 一般的には塗装の目的は3つあります。①素材の保護②外観の向上③外観の識別の3つです。

素材の保護

 塗装する事によって素材を傷やサビから守ります。特に金属性のものはサビからは逃れられません。普段の手入れや保管場所によってこの流れは加速してしまうので、日ごろの手入れは怠らないほうがいいでしょう。深い傷によって素材の鉄が見えたりしたらタッチアップでも良いのでやっておいた方が良いでしょう。

 又求められる性能として高機能である必要があります。どういう事かというと、対スリ傷性や酸性雨・アルカリ性雨に強い、撥水性や親水性を持つなどがあります。

 最近ではカワサキのH2のクリアコートは傷を自己修復する機能があるようです。どういったものが使われているのかわかりませんが、クリアコートに修復性能は以前からありました。製品によって性能の違いはあると思いますが、クリアコートの層が形状を記憶しているので、ちょっとの傷や押された痕など、熱を掛けてあげれば元通りです。又、各塗料メーカーも様々なものを作っていて、防汚性能を持たせたり、遮熱塗装などがあります。

外観の向上

 当たり前かもしれませんが、塗装すると見栄えが良くなります。中にはアルミ地の見た目を活かしたデザインのタンクなどもありますが。しかし、部分的に用いられていたりロゴが入っていたりと、やはり多くのパターンで色彩は加えられているものだと思います。

 例えば、単色の黒いタンクがあったとします。それはそれでかっこいいかも知れませんが,そこに赤いラインが一本入っただけで、その物のイメージはガラッと変わってくると思います。

 外観向上の為にクリアコートの回数を増やしたりもします。それによって色に深みやツヤが出てくるんですよね。まあ、入れ過ぎも良くないのですが…。クリアコートを増やし過ぎると締め付け部分が取り付けの際に割れたり、クリアが縁に溜まってボテッとした感じになることもあるので。

 又、いくらクリアコートと云えど完全な無色ではないので、厳密に言うと塗り重ねれば重ねるほど濁っていってしまうわけです。そこまでこだわって見る方も非常に稀ではありますが。

 最近ではマット塗装なども流行っていますね。あれはツヤを消す成分が入っていて、独特の高級感を狙ったものです。ただ、デメリットとしてマット塗装は傷が入っても磨いて落とす事が出来ません。時々、マットの傷を落とそうとして磨いてしまう方がいらっしゃいますが絶対駄目ですよ?ツヤが出てしまったらどうする事も出来ません。塗りなおすしか手段はなくなってしまいますから。

 ハーレーは最近ではマット塗装と通常のクリアコートを合わせた車両も出していますね。やはり、各メーカー色々な技法でデザインをしてきますね。買う側としてはそういった所で今まであまり見かけなかったデザインが増えてくるのは非常に面白いと思います。

外観の識別

 これは「塗られた色やデザインでどういったものかがわかる」ということです。例えば、消防車の赤、パトカーの白黒のツートン。あとは建設車両の黄色のなどがここに当たると思います。あとはロゴマークやキャラクターマークなどもそうです。クロネコヤマトさんや観光バスにタクシーなど、見かけただけですぐに識別できますからね。そういった目的も塗装にはあります。

 オートバイだとメーカーをイメージさせるコーポーレートカラーの様なモノの印象が特に強いような気がします。カワサキのライムグリーンやヤマハのブルー、ドゥカティのレッドやKTMのオレンジにBMWのホワイトにMラインであったり。識別とはちょっとニュアンスが違うかもしれませんが、メーカー毎にカラーイメージがありますね。

塗料の成分

 では、そもそも塗料って何から構成されているかご存じでしょうか?基本的には4つの成分から構成されています。1,樹脂 2,顔料 3,溶剤 4,添加剤が主な成分になります。当然、例外もあり透明なクリアコートには顔料は含まれませんし、粉体塗料には溶剤は含まれません。

 塗料と呼ばれるモノの歴史は古く、古代の壁画に着色されていたりもしたそうです。

①樹脂

 樹脂は塗膜を作る基本物質です。溶剤によって溶かされた状態で塗料に含まれ、乾燥後に顔料と混じり合った状態で塗膜を形成してくれます。樹脂には天然樹脂と合成樹脂があって、日本では古くから使われている漆なんかも天然樹脂に該当します。石油化学が進歩して合成樹脂が現代の中心ですが、それまでは天然樹脂が主に使われていました。

天然樹脂

 言葉の通り天然資源から採れる樹脂を天然樹脂と言います。主に樹液から得られるものが多く、有機溶剤には溶けますが、水には溶けません。よく知られているいるものとして、ウルシオール(漆)、ロジン(松脂)があります。少し脱線しますが、ゴムやラテックスも樹液由来の天然樹脂で膠なんかもそうです。あと、鉱物由来の天然樹脂なんかもあります。そう考えると樹脂って我々の生活においてかなり身近なものですね。

合成樹脂

 文字のイメージからわかる様に、石油から人工的に作られた樹脂です。ちょっと細かい話をすると、原子や分子がたくさん結合したもので、単量体(モノマー)が手を組んで重合体(ポリマー)となったものです。そして、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられます。熱可塑性樹脂にはポリプロピレンやポリカーボネート、アクリルや塩化ビニールがあり、特徴としては過熱すると軟らかくなります。

 熱硬化性樹脂にはエポキシやシリコン、ポリウレタンにFRP(ガラス強化繊維プラスティック)があり、こちらは熱を掛けても軟化することは御座いません。(ただし、高温での成形加工後)まあこの辺は大分マニアックな話なので、「ふーん、そうなんだ。」くらいでオッケーです。

 では実際に塗料に使われる樹脂とはなんでしょう?樹脂の名称は製品名であったり、相称であったりと分類としては複雑ですが、よく聞くのはアクリル樹脂、ウレタン樹脂ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などではないでしょうか?各樹脂の特徴としては…

アクリル樹脂:透明性が高く、強度と加工性が優れている。

ウレタン樹脂:対摩耗性や耐油性、弾性に優れているが、酸やアルカリに弱い

ポリエステル樹脂:耐熱性、強度に優れている。

エポキシ樹脂:耐水性、耐薬品性、電気の絶縁性に優れている。

 ざっというとこんな感じになります。ここでのポイントは樹脂って色々な所に使われていて、アクリルやらウレタンってなんかよく聞くけど樹脂の事を言ってんだなとわかってもらえればOKです。

次回に続きます。

塗料の成分と硬化の方法、塗装のシステムについて
皆さんこんにちは。FLAG-UPの中島照文です。  前回に引き続き、塗料の成分から硬化について、そして塗装のシステムを解説していきます。  自分で塗装をやってみたい人はこの辺の知識を知っておいた方が良いでしょう。基本となる知識なので知ってお

ここまで、読んで頂きありがとうございます♪

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