皆さんこんにちは。aohitoです。
前回に続き、エンジンを開けた後の点検ポイントになります。
ここまでやる方はなかなかいないとは思いますが、内部がどういったモノで構成されて、どういう所が重要なのかがわかると思いますので、是非のぞいていって下さい。
それではいきましょう!
ピストンの点検ポイント
ピストンを分解、組付けする際はピストンピンやコンロッドの向きを間違えないようにしましょう。コンロッドをピストンに組付けた際は前後にコンロッドを動かしてみて、少し抵抗を感じるくらいがイイ感じだと思います。
ピストンリングを組み付ける際は合い口隙間をそれぞれずらして組み付けて下さい。合い口隙間が全て同一の方向だとそこから圧縮漏れやオイル上がりの原因となってしまいます。
一番緊張するであろう、ライナーへの組み付けですが、ここでのポイントはピストンとライナーの最小隙間になります。ここが小さ過ぎると、適切な油膜が作れなくなり焼き付きの原因になります。逆に大き過ぎると圧縮漏れによる出力の低下や打音発生の原因となります。
最小隙間はピストンの最大外形とシリンダーの最小内径を測定して知る事が出来ます。実際に組み付ける際はピストン外周にエンジンオイルを塗り、組み付け方向を誤らないように注意して行いましょう。
ピストンリングをギュッと縮めてピストンを入れ易くしてくれる便利な専用工具があるのですが(ピストンリングコンプレッサ)、無ければうまく縮めながら(2人でやると楽かも)上からハンマーの柄などで軽くトントンと叩いてコンロッドベアリングがクランクピンに当たるまで押し込んであげて下さい。
※ご自分のエンジンに使用できるものを選びましょう。
そして、ピストンを下死点まで押し込んだ所で、きっちりと規定トルクで絞めてあげてください。その後、クランクシャフトがスムーズに回ることを確認して下さいね。
コンロッドの点検ポイント
コンロッド大胆部の側面とクランクピンの端面をシックネスゲージで測定します。ここの遊びが大き過ぎるとコンロッドが前後に動いて異音を発生させてしまいます。
コンロッド小端部のブシュは摺動部分であり、上から叩かれるので楕円状に摩耗します。ここは組付けられた状態で隙間を測定します。隙間が大き過ぎれば交換になります。ここで、コンロッドの曲がりの原因にも触れておきます。
- 高速回転からのシフトダウン
- ウォーターハンマー→洪水などで、エンジン内に水が入ってしまい起きる現象です。水は圧縮出来ないですからね。
- ガスハンマー→あまり聞きなれない言葉かと思います。熱されたガソリンがインマニからシリンダー内に流入して、起きる現象です。
- ノッキング
- 落下
などがあります。
クランクピンとベアリングの隙間をオイルクリアランスと言います。ここの隙間にオイルが保たれているのですが、摩耗が大き過ぎるとオイルが保たれなくなって油圧が低下します。それにより、他の部位への送油が減少して、正常な潤滑機能が果たされなくなってしまいます。逆に、クリアランスが小さ過ぎても油膜が作れなくなるので、ベアリングが発熱して、焼き付きの原因になります。なので、ここではオイルクリアランスが大切なポイントになってきます。
クランクシャフトの点検ポイント
クランクシャフトのポイントは「曲がり」です。クランクシャフト中央のジャーナルで測りましょう。切れ込みの入ったブロックなどに乗せ、ゆっくりと回しながらダイヤルゲージで測定します。
軸方向の遊びの点検
クランクシャフトは軸方向にも遊びがあります。働きとしては加速時、減速時のクラッチからの力を受けるので遊びが必要となってきます。他には、ジャーナルベアリング等も全て交換するのが良いでしょう。
その際、ベアリングとジャーナル部の当たりはよく診ておいて下さい。おかしな当たりがあるとクランクは正常に回転出来ず、ベアリングの損傷などを起こしてしまいます。
ベアリングキャップの点検
ベアリングキャップの歪みも併せて点検します。キャップの歪みは規定トルクで締め付けた後に点検します。シリンダーゲージを用いて三か所ほどで点検します。
ハウジングの歪みを点検するにはストレートエッジを用います。キャップとの接地面と内面に当てて、隙間をシックネスゲージで測ります。歪みが規定値を超えていたらキャップとブロックは交換になります。
オイルシール点検
オイルシールの点検をしておきましょう。傷や劣化が有れば交換です。その際はグリスを付けるのをお忘れなく。
クランクシャフトまとめ
では、クランクシャフトをブロックから取り外す際の要点をまとめていきます。
- 軸方向の遊びを測り、スラストベアリングの良否を判断する。
- ジャーナルベアリングキャップを外す際は両端から中央に向けて緩めていく。
- 外したキャップが組み付けの際わからなくならないように印をつける。
- クランクシャフトを取り外し、ハウジング側のベアリングもわからなくならないように印を付ける
- 外した部品はよく清掃して、異物が混入しないように注意する。
クランクシャフト組み付けの要点
- 各部のグリス塗布を忘れない。
- 締め付けは取り外しと逆なので、中央から両端に向けて締めていく。一か所締め付ける毎にクランクシャフトが綺麗に回るかをチェックしながら行うと良いでしょう
最後に問題なくクランクシャフトが回る事を確認してフィニッシュです。
フライホイール・リングギアの点検ポイント
フライホイールは「振れ」を点検しましょう。ダイヤルゲージを用いて行います。ここでの振れが大きいとクラッチ接続時に異常振動が起きたりします。これをジャダと言います。
クラッチディスクとの接触面は摩擦熱の繰り返しによってヒビや段付き摩耗が起こるので、要チェックです。リングギアは亀裂や歯の欠損等を診てあげましょう。セルモーターと噛み合う箇所なので、噛み合い不良があると、リングギアがダメージを負っているかもしれません。
分解組み立ての要点をまとめましょう。
- ノックピン等で位置合わせがしてあれば良いのですが、無いものは合いマークをつけてから取り外しましょう。
- 組み付けの際、金属粉や異物が入らないように注意してください。
- 合いマーク、ノックピンに合わせて組付けましょう。
- 対角線上に数回に分けて規定トルクで締め付けます。
- 最後に振れがないかチェックしてフィニッシュです。
バルブ機構の点検ポイント
まず、バルブステムを3か所で測定します。片方だけ以上に摩耗していたり、限度値を超えて摩耗しているものは交換です。
バルブに関してはバルブガイドの内径をキャリパゲージで測定、マイクロメーターでバルブステムの外形を測定し、その差から隙間を求めます。その隙間が規定値に入っていればオケーですし、越えていれば交換となります。又、バルブガイドのオイルシールも要チェックです。損傷や編摩耗が無いかよく確認しましょう。オイルシールは一度取り外したら原則交換です。
バルブスプリング点検
バルブスプリングはまずキズや損傷がないかの点検。その後、スプリングテスタでばね力があるか確認します。取付高さまで、圧縮して測定。また、圧縮しないで測定。いずれも規定値を満たさなければ交換です。あとは、スプリングの直角度です。スプリングが曲がっていれば、要交換です。
次回に続きます。
ここまで、読んで頂きありがとうございました♪
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