4ストロークエンジンにおける脈動効果について〜脈動効果って何?〜

オートバイの仕組みと整備
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 皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。

 今回は排気装置における4ストロークエンジンの脈動効果についてです。

 排気装置の簡単な解説はこちらになるので併せて読んでみて下さい!

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 それではいきましょう!

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集合管について

バイクの排気装置とはエキゾーストパイプやマフラーなどの総称です。その排気装置には脈動効果と呼ばれるエンジン性能を引き出す大切な要素があることをご存知でしょうか?

 これを上手く取り入れる事でエンジンの出力特性を向上させる事が出きます。ここを理解する為に、まず4サイクルの4気筒エンジンを例に説明していきます。

 4サイクル多気筒エンジンのエキゾーストパイプは四本のエキパイがエンジン下部で集合して、最終的には1本にまとめられている車両が多いですよね?これを集合管といいます。

 聞いたことありますよね?今は集合管を採用している車両が殆どだとは思うのですが、ちょっと旧い車両は各気筒毎にそれぞれ独立したエキパイをもっていて、2気筒なら二本、4気筒なら四本と言った具合に気筒の数だけエキパイを持つタイプが多くありました。

 これはエンジンの排気が互いに干渉して、効率を落とす事を避けて高出力を目指したものだと言えるでしょう。なので、始めは集合管というものは無かったのです。

 その後、これは有名な話ですがマフラーメーカーであるヨシムラがレース用に集合管を開発、それから集合方式の進化が進み、今では一般的なものになりました。例えばレースの用であればより最高出力を伸ばして高回転で回せるようになり、一般車両においても常用回転域でのレスポンス向上とか出力向上といった事が狙えるようになったわけですね。

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 4気筒エンジンの場合、4本を1本にまとめる4-1方式と一度2本にまとめてから1本にする4-2-1方式があります。

4ー1方式

4ー1方式の特徴としては、パイプの長さと内径を最適化する事で、1番使いたい(使わせたい)回転域に脈動効果が最も高まるように設計する事ができます。又、見た目が非常にシンプルになりスッキリとした印象があるのもメリットかと思います。

ある回転域で脈動効果が最も高くなるように設計するということは、反面どこかに出力の谷を生んでしまうことにも繋がります。なので、そういった場合にはなるべく谷を抑えるようにしたり、あまり使わないであろう回転域に置いたり、車検での音力測定の範囲に設定する事で騒音対策するといった設計がされています。又、この谷をマフラーの味付けとして、走りにメリハリをつける演出?的な役割を持たすこともあります。

 以前自分がゼファー1100に乗っていた時、カーカーマフラーが入っていたのですが、あれはその味付けがかなり効いていました。確か、2500rpmくらいだったと思うのですが、一度そこでボコつくんですよね。まさに谷といった感じで。そこから3500rpm過ぎた辺りから一気に加速し出すんです。初めて乗った時は油断していたのもあってビビりました。落ちそうになりました。笑

 これくらいマフラー一つで走りは変わるんだなっていうのがとても印象深かったですね。

4-2-1方式

 4-2-1方式のタイプの特徴は4ー1方式の特徴に加えて更に脈動効果の調整の自由度が高いところですね。集合部分が1箇所から3箇所になることでより細かな調整が可能になりました。しかし、その分構造も複雑になり4-1タイプほどスッキリとした印象は持ちにくくなります。なので、カウルに隠れるような車両に多く採用されています。

 どちらのタイプも共通して言えることは、エキパイの長さ、内径、形状、マフラーとの相性、などなど緻密な計算やテストの元設計されていること。さらに吸気、バルブタイミング、点火タイミング、キャブレターやインジェクションセッティングなどが一体となりベストな性能が発揮されるようになっている事をよく覚えておきましょう。

4ストロークエンジンにおける脈動効果

 ここまでが、脈動効果を理解する為の集合管の基本的な知識です。では、ここから本題の脈動効果について解説です。ちょっとややこしいかもしれませんがなるべくわかりやすく書いていきます。

エンジンの排気工程でエキゾーストバルブが開くと、高温高圧の排気ガスが排出されます。この際、排気ガスは急激に排出されることになるので、圧力の波が発生します。これを正圧波と言います。正圧波はエキゾーストパイプの中を音速で伝わっていきます。

正圧波が開放端(※)を通る時、正圧波とは逆方向に伝わっていく負圧波というものが発生します。なので、これはエキゾーストパイプ内をエキゾーストバルブの方に伝播していくことになります。

開放端とは、集合管の接合部分など、エキゾーストパイプの内径が急に大きくなる所を言います。単気筒であれば、マフラーの入り口などですね。

負圧波は排気ガスとは逆方向に進みエキゾーストバルブに到達します。しかし、ここではまだピストンは下側にある為にエキゾーストバルブは閉まっています。なので、行き場を失くした負圧波はここで反射して正圧波同様にマフラー方向に進んでいきます。

負圧波がマフラー方向に進んでいくうちに、開放端を通過していきます。すると今度は先程とは逆に正圧波が発生するのです。この正圧波はエキゾーストバルブ方向に伝播していきます。

この正圧波エキゾーストバブルに到達すると、先程同様に反射して再度マフラー方向へ流れていきむす。

 このような一連の流れは、排気ガスが排出されていく過程て繰り返し行われています。これを脈動効果といいます。

脈動効果によって何が起きる?

 では、仮に排気工程でエキゾーストバルブが空いている時に負圧波がバルブ付近に来ていたとします。すると、この負圧波は排気ガスを燃焼室から吸い出す働きをしてくれて、充填効率を高める効果があります。結果、この回転域では出力のアップにつながります。

 逆に、エキゾーストバルブが空いているときに正圧波がバルブ付近にきていたとします。すると今度は排気ガスが排出されるのを阻害する働きをしてしまうので、重点効率を下げてしまい、結果この回転域では出力のダウンに繋がってしまいます。

 この脈動効果をうまく活用する事で狙った回転域での出力を向上させることが出来ます。しかし今述べたように脈動効果には出力ダウンにつながる回転域もあります。

 これは、圧力波が音速で伝播して開放端を境に戻ってくるまでの時間は開放端までの距離で決まりるのですが、その時バルブが開くまでの時間はエンジンの回転数によるからです。

 ちょっと難しいですかね?言い換えると…

 エキゾーストバルブから開放端の距離は変わらずに一定の為、圧力波が行って帰ってくるまでの時間は変わらない。が、その時バルブが空いているかどうかは、エンジン回転によって違うから常に最適な脈動効果を得ることは出来ないという事です。

 これが気筒における脈動効果です。 

脈動効果と集合管

 では、これを集合管に合わせるとどうなるのか?ですね。この気筒毎の脈動効果をうまく利用する事によって燃焼ガスの排出を向上させることができるようなります。例えば、4番の気筒が排気する時の脈動効果を利用して1番の吸気を向上させるとかっていうイメージです。こういった具合にそれぞれの気筒毎の動きを別の気筒の働きに活かすといったシステムが集合管なのです。実際には気筒毎の点火の順番や集合管の方式によってそれぞれなのですが、基本的なシステムとしてはこんな感じになります。

 なんだかちょいと難しい話になってしまい、イメージしにくいかもしれませんが、エキパイの中ではこんな事が起きているのかって事をなんとなくでイメージ出来れば良いんじゃないですかね?
 今後マフラー交換の時とかに少しでも思い出してもらえれば幸いです。

 次回、2ストロークエンジンの脈動効果に続きます。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

コメント

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