皆さんこんにちは。aohitoです。
前回は電気装置の基本と充電装置の構造について解説しました。
今回はその続きで、充電装置がどうやって発電しているのか。そして、点火装置の解説をしていきたいと思います。
それではいきましょう!
どういった原理で発電するのか?
コイルの中で磁石を回転させると磁束の向きや方向が変わるのは想像できますか?これがコイルの中で起きるとどうなるか?そう、電気が起きるのです。
つまり、ステータというコイルに囲われた中で、磁化されたローターが高速で回転する事によって磁束の数や方向が変化して、その時に電圧が発生するという事です。
この電圧を誘導起電力といい、発生した電流を誘導電流といいます。
この起電力の大きさは磁束の変化の大きさ、つまりローターの回転数とコイルの巻き数が多いほど大きくなります。実際のオルタネーターではステータコイルを3個、120°ずつずらして繋げています(スター結線)。これを三相交流といいます・
オルタネーターの制御
決まった負荷や回転数で使われるオルタネーターなら、出力を制御する装置は要りませんが、車やオートバイはそうはいきません。坂道もあれば、高速走行する場面もあるでしょう。
そういった時にオルタネーターの電力を制御してくれているのが、ボルテージレギュレーターです。では、レギュレーターはどうやって制御しているのか?オルタネーターの電力は下記の3つの要素によって決まります。
1 .コイルの巻き数
2 .磁石の回転速度
3 .磁力の強さ
この3つのどれかを制御してあげれば良いのですが…
1 のコイルの巻き数を変化させるのは物理的に難しいでしょう。
2 の磁石の回転速度はエンジンの回転速度によって決められてしまいます。
よって③の磁力の強さ=ロータコイルに流す電流をレギュレーターが増減させて出力を制限しています。
なので、もしバッテリーの充電不良などが起きている場合は、今回記事としてあげたオルタネーターやレギュレーターあたりが怪しいかなと考えられるわけです。
要点をまとめます。
コイル内には磁力線の変化を妨げる方向に電圧が誘起されます。発電機と呼ばれるものは、磁石を回転させることによってコイル内の磁力線を変化させています。
実際のオルタネーターでは固定されたステーターの内側でローターが電磁石となり回転します。ステーターには3つのコイルが使われていて、それによって三相交流が発生しています。
発生した交流はダイオードによって全波整流され、直流となります。
点火装置
点火装置は基本的な所から順を追って説明していきます。点火装置はスパークプラグに高電圧を送り、エンジン回転数に合わせた適切なタイミングで火花を飛ばす為の機構です。
構成としては、スパークプラグ、イグニッションコイル、ハイテンションコード、ディストリビューター(バイクには用いられていませんが、構造理解の為に触れておきます。)などが主な部品です。
仕組み
点火装置にはイグニッションコイルというものが在り、2つのコイルが内蔵されています。それを、一次コイル,二次コイルといいます。
一次コイルに流れる電流を遮断する事により二次コイルに高電圧が誘起され、それがディストリビューターによって各気筒に配電されて、スパークプラグに火花が飛ぶという仕組みになっています。
一次電流の遮断にはディストリビューターに設けられたシグナルローターや、ピックアップコイルによって機械的に行うトランジスタ式と、各センサー類からの情報を元にトランジスタを制御するマイクロコンピューター方式があります。
どうやって電圧を発生させているのか?原理は?
高電圧を発生させるにはコイルの自己誘導作用と相互誘導作用を利用しています。
・自己誘導作用
例として、鉄の棒にコイルを巻き付け、電気を流します。すると、鉄棒は磁化されるということは前述しました。その、電気が流れて磁化する瞬間に、電気の流れとは逆方向に電気を流そうとする電圧が誘起されるのです。
又、既に電気が流れて磁化されている鉄棒があるとします。その電気を急に遮断すると、今、流れている電流と逆方向に電流を流そうとする電圧が誘起されます。つまり、電流が流れたり遮断されると、それとは逆方向に電流を流そうとする電圧が発生する現象の事を自己誘導作用と言います。
・相互誘導作用
例として、鉄の棒に2つのコイルを巻き付けます。1つは単純に電気を流すコイル(コイルA)。もう1つには電球を付けます(コイルB)。コイルAに電流を流すと、2つのコイルの巻き数比に比例した電圧がコイルBに誘起され、電球に灯りがつきます。つまり…
2つのコイルの内、1つに流れる電流の大きさや方向を変える
→鉄の棒の磁化される強さや方向が変わる
→もう1つのコイルに電圧が誘起される。
この現象を相互誘導作用と言います。
どうやって高電圧を発生させるの?
車やオートバイは上記の2つの現象をして高電圧を発生させています。
例として1つの鉄棒に2つのコイルを巻き(一次コイル、二次コイルとします)一次コイルに電流を流して磁化させた状態にしておきます。そこで、一次コイルに流れる電流を急に遮断します。
すると、自己誘導作用により、一次コイルに電圧が誘起されます。と、同時に二次コイルには相互誘導作用がはたらき、電圧が誘起されます。
相互誘導作用によって誘起された電圧はコイルの巻き数比(一次コイルの巻き数分の二次コイルの巻き数)に比例します。また、一次コイルの電力が減少した割合(遮断された時の電流の大きさ)にも比例して大きくなるので、大電流が発生するという仕組みになっています。一般的に二次コイルに誘起される電圧は15000~35000ボルト程度です。
おおまかな仕組みは理解してもらいましたか?
では、実際のオートバイではどういった方式の点火装置が使われているのでしょうか。
フルトランジスタ点火、CDI点火
オートバイの点火装置は大きくわけると2つに分類されます。CDI点火とフルトランジスタ点火です。どちらも同じような役割を果たしていますが、性能は違っていますので、その辺が理解出来ると良いかなと思います。
フルトランジスタ式の説明の前に点火系の歴史というか推移にも触れておきます。
ポイント式点火
古い車両ではおそらく、最も使われていた方式です。
点火タイミングになった時、コンタクトブレーカーと言われる接点が開く事でコイル内に自己誘導作用が起こり、一気に大きな電流を流して火花を飛ばすという仕組みです。
ただ、全てが機械的に制御されているために定期的なメンテナンスが必要となります。
又、低回転時は接点の断続が遅くなり一次電流の切れが悪くなります。すると、二次電圧が不安定となり着火ミスが発生し易くなるという弱点があります。
もう一つの問題点となったのが接点が機械的に触れている為に摩耗が避けられないということです。
旧車の整備に慣れてらっしゃる方々のなかには、逆に定期メンテナンスさえ行えば良く、機械的なのでわかりやすいという声も聞いた事があります。しかし、高回転では火花が弱くなり易く、低速では安定性に欠けるといった性能的な問題から次のシステムが開発されていきます。
セミトランジスタ式
コイルに流れる電流を機械的なポイントでおこなうのではなく、半導体であるトランジスタを用いることで、ポイント式による問題を解決したのがこのシステムになります。
しかし、オンオフの信号を検出するのは依然としてポイントを使っていたので、“セミ”トランジスタ式と呼ばれています。
一次電流の断続をトランジスタで行う事でスイッチの接点の火花を防止し、低回転での電圧も安定させる事が出来るようになりました。
当時の事を考えるとこれはかなり革新的だったのではないかと思います。それまで、メンテナンスを行うのが当たり前だった点火の仕組みがごろっと変わったわけですからね。電気の安定したオンオフが出来るようになった事で排気ガスのCO.HCの排出も抑える事ができました。
次回に続きます。
ここまで読んで頂きありがとうございました♪
コメント
[…] […]
[…] […]