ケース毎のサーフェーサーの下地方法【No.2】〜剥離剤やキズ修正を行った場合〜

塗装の知識と実践
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 皆さんこんにちは。aohitoです。

 前回に続きケース毎のサーフェーサーの下地方法です。

塗装の下地って何するの?〜基本のアシ付けからサーフェーサーの下地【No.1】〜
皆さんこんにちは。FLAG-UPの中島照文です。  前回は下地に必要な道具を紹介しました。  今回は下地作業の基本中の基本、アシ付けです。これを行わないと塗装はどんどん剥がれていきます。  併せて、ケース毎にサーフェーサーを塗装する為の下地...

 それではいきましょう!

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①塗膜の密着が悪い場合(つづき…)

 塗膜が、密着していないとこのフェザーエッジがキレイに取れずにどんどん、塗膜が剥けて来てしまうんですよね。そうすると、ずーっと下地に段差がある状態になってしまうので、当然仕上がりに影響してきます。

 又、塗膜の下の部分が密着不良を起こしているという事は基礎がダメということなので、上から塗装しても剥がれるリスクを背負う事になります。なので、塗膜が密着不良を起こしている場合は剥がれる塗料を全て剥いで、新たにサーフェーサーを塗装して、しっかりとした下地を作る事をオススメします。

 方法としては、薄めのスクレーパーなどで、塗膜の隙間に差し込めば簡単にめくれてくれる事もあります。それが、難しければヒートガンなどで熱をかけてあげると塗膜が軟化し、塗膜を剥きやすくなります。

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 ここまでやっても、剥けないモノは素直にサンディングで、削り落としていきましょう。番手は120~320辺りが適当かと思います。この辺りは、後に使用する塗料によって多少変わってきます。ただし、プラスティックパーツに120番などの粗いペーパーを使うのは作業としては早いですが、慣れていない人にとってはかなりリスクになります。

 十分に気を付けるか、240から320番程度で頑張る方が時間はかかりますが、リスクは抑える事ができます。研ぎの際、基本的には粗い番手からしっかり目消しを行い、最終的には320番程度で、仕上げるのが良いでしょう。前述しましたが、目消しは粗い番手から細かい番手へと、順を追って上げていくのが基本です。飛ばしてしまうとしっかり目消しが出来ない事もあるので、面倒臭がらずに確実にやっていきましょう。

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 ただし、仕上がり番手は素材にもよるので要注意です。鉄系は、固いので、180番から240番程度で仕上げてしまってオッケーです。プラスティックパーツは240番だとちょっと荒いかな?と思うので、320番程度で、塗膜を落としアシ付けを行います。

 その後、アシレックスシートの粗めの600番程度や、ユニウール等の粗い目の240番程度で仕上げてあげるといいかなと思います。プラスティックパーツに粗い研ぎ目が入っていると、最終的な仕上がりまで影響する事をあります。鉄系で、そこまで粗い目が入る事はなかなかありませんが、プラスティックパーツやFRPなどは、気を付けた方が良いでしょう。

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アシレックスのスカイの粗目です。スカイには細目と粗目があるので注意しましょう。

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320番相当のスコッチブライトです。これでもOKです。

まとめると…

①部品の脱脂・洗浄。

②塗膜を熱であぶって剥く。

③サンディングペーパーの120や180で塗膜を落とす。

④サンディングペーパーの320番程度で目消しを行う。

⑤アシレックスシートの粗い600番程度やユニウールの240番程度で更に目を細かく調整する。

⑥プラスティックパーツであればウオッシュコンパウンドで研磨、洗浄を行いフィニッシュです。

 以上です。

 鉄系は基本的に180番から240番程度でフィニッシュで良いかと思います。最後に間違っても水洗い洗浄はしないように!当たり前ですがサビまくります(笑)。

 鉄系の下地の大切なポイントの1つに防錆があります。実際行うとわかりますが、汗ばんだ手や腕が触れると、すぐに錆が発生します。その上から塗装しても、中の錆は進行していくので、いずれ塗膜が浮き始め、剥がれてしまいます。なので、下地の段階でしっかりと錆を落とすか、サビを発生させないように作業を行いましょう。

②塗膜の状態が悪いので、塗膜を全て落としたい

 こういった場合も要サーフェーサーです。塗膜の状態が悪いというのは上記のように密着不良を起こしている場合や、経年劣化によってクリアコートがベタついたり、白くなったりしている状態です。こういった場合は塗膜をしっかり落としてあげた方が後に安心です。

 しつこい様ですが、下地作業は基礎作りです。基礎がいい加減だと、どんな良いものを上にのせた所で後々、確実にダメになります。なので、この見極めを間違えないようにしましょう。

 作業自体は①と同じです。ただ、塗膜が密着している分、サンディングで時間が掛かるかもしれません。なので、ダブルアクションサンダーやオービタルサンダーといったエアツールがあると、非常にスムーズに作業を行えます。コンプレッサーや道具を揃えないといけないので、多少敷居は高いですが、かなり本格的な作業が出来ると思います。

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高価ですが、信頼性の高いコンパクトツールのダブルアクションです。メンテナンスさえしっかり行えば、ハードに使用しても長く使えますよ。

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こちらはコンパクトさんのオービタルサンダーです。僕も使用していますが、良い仕事をしてくれます。オービタルはアシ付けやサンディング、パテ研ぎ等にも使いやすいのでオススメですね。

 ただ、実際はそこまで、費用をかけられない方や場所が無い方の方が多いと思います。なので、そういった方々は当て板にサンディングペーパーを張り付けて行うのが良いかと思います。ホームセンターなどで、売っているプラスティックのプロックを手のひらサイズに切り分けて使うのがいいでしょう。

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例えばこういうものを使いましょう。

 基本的に固めの方が研磨力は高いので、今回の場合はそちらを使うのが良いかと思います。が、逆に研ぎ過ぎでパーツの形状を崩してしまうケースもあるので、固いものから柔らかいものまで揃えるのがbestでしょう。

 がっつり削りたい場合は固い当て板に粗めのサンディングペーパーを張り付けてゴリゴリ削ったり、柔らかめの当て板に細かいサンディングペーパーを張り付けてキレイな曲面を作ったりと、当て板とペーパーを使いこなせるようになったらプロ顔負けかもしれませんね。

剥離剤

 又、別の方法で剥離剤と言う溶剤を用いる方法もあります。これは、部品を侵さずに塗膜だけを溶かしてくれると言う優れ物です。スライムのようにドロドロしているので、細かな箇所にもしっかり入ってくれます。

 刷毛などで、全体に剥離剤を乗せて、放置しておけば塗膜をどんどん落としてくれます。途中、乾いてしまうと反応が弱くなるので白くなってきたら足して下さい。特に日光に当たっていると、すぐに乾くので日陰で行うのが良いでしょう。

 全体の塗膜が落ちたら、しっかり水で洗い流して下さい。この場合は鉄形でも水を使ってOKです。剥離剤が万が一残っていると大変なので、しっかり洗い流して下さい。

※もし塗膜が落ちにくければ、全体に180番などの粗い番手でキズを入れてあげると落ち易くなることもあります。

 その後、しっかり乾かしてサンディング作業に入ります。ここからは上記の方法と同じで残った塗膜を落として、全体にアシ付けを行いましょう。

 しかし、剥離剤には注意点もあります。

①非常に強い溶剤なので肌に触れるだけでめちゃくちゃ痛いです。なので、長袖、長ズボン、手袋、ゴーグルは必須です。また、部品も直接触れられないので、トングやスコップ、ドライバーなど何かしらの方法で部品を動かせるように用意も必要です。

②水溶性なので、バケツに水を汲んでおいて下さい。もし、触れた場合はスグに洗い流しましょう。

③プラスティックパーツ、FRPパーツには使えません

 もし、使用する際には上記の点を守って使いましょう。

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③凹みをパテ等で直した場合・パテを使わずともキズ等の修正作業を行った場合。

 パテ修正やその他、修正作業を行った場合はサーフェーサーを塗装しましょう。パテの上に直接塗装をしても、パテが塗料を吸ってしまい、ツヤが引けたりします。

 又、サーフェーサー無しという事は塗装される面の凹凸をカバーしないという事なので、デコボコになる可能性が非常に高いです。いくらパテをキレイに研ぐ技術があっても歪みや研ぎ目などが、かなり高い確率で出て来ます。なので、パテ修正作業を行った場合は、サーフェーサー塗装は必須だと言えるでしょう。

 又、キズを研いで落とした際も、サーフェーサーを塗装した方がよいでしょう。理由としては…

・キズを落とす際には粗いペーパーを使う場合が多い

→粗い研ぎ目は残りやすいので研ぎ目をカバーするためにもサーフェーサーを塗装した方が良いでしょう。

・へこんでいる可能性がある

塗膜を研ぐという事は、表面が薄くなるので凹んでいくということです。「塗膜なんて薄いのにそんな気になるの?」と、思うかもしれませんが、案外気になります。というか、初心者でも触ればわかるレベルで凹みます。当然、乗っている塗膜の厚さによりますが、人間の指先の感覚というのは結構、敏感で塗膜程度の薄さの凹みもわかるのです。 

 又、へこんだ状態で塗装してもベースコートやクリアコートだけでは誤魔化しきれないので、最終的に結構目立ったりします。ここは、人間の目の敏感さかもしれません。触っても大した事のない凹凸も、塗装して目で見てみると気になる事が多々あります。そういった事も踏まえてサーフェーサーを塗装した方が良いでしょう。

・素地が出ている可能性が高い

→キズを研ぎ落とすと、下地まで出てくる可能性が高いです。当然、場合によりますがキズって案外深くまでいくんですよね。なので、しっかり研ぎ落とすと下地までいく場合が多いです。下地の上に直接塗装すると密着の問題や部品によってはサビの問題が出てくるので、サーフェーサーを塗装した方が良いでしょう。

・フェザーエッジが目立つ可能性がある

→キズを研ぎ落とすと塗膜が層のようにみえますが、その層のキワをフェザーエッジと言います。で、直接塗装するとフェザーエッジの段がうっすら見える事が多いです。段が、しっかり取りきれていないという事ですね。触ってもわからないくらい緩い傾斜で広く研ぎ慣らす事が出来れば出なくする事も出来ますが、プロの技だと思うのでここではオススメしません。なので、サーフェーサーを塗装した方が良いでしょう。

 こういった理由から修正作業を行った場合はサーフェーサーを塗装しましょう。

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缶スプレーの場合はこういったものを使用します。

 では次回、併せて凹みやキズの修正方法について解説していきます。 

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 ここまで読んで頂きありがとうございました♪

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