皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。
前回に引き続き磨きの手順です。
それではどうぞ!
磨きの手順(続き…)
⑥タレを取り除く
タレ取りは正直なところ難しいです!なのて、ここで記載しても下地を出さずに完璧に取り除ける人は少ないと思います。
しかし、塗装をする以上、タレるリスクは常にありますし、肌を良く塗装しようと思ったら避けれては通れない道だと思うので細かく解説していきます。
又、一度タレてしまい塗り直す場合でも、タレは取り除かなければいつまでも残ってしまうものなので、塗り直す場合にも必要なテクニックです。塗り直す場合は、最悪下地が出てしまっても大丈夫なので、気は楽かもしれませんね。
まず、タレ以外の所をマスキングします。マスキングテープを上手く貼っていって、タレ以外のところが研がれないようにしていくのです。
※マスキングテープも色々種類があってどれを買うか悩むと思います。基本的には安くても十分だったりするのですが、ここではちょっと良いものを紹介しておきます。テープの切れやすさや丈夫さ、粘着力やノリ残りが少ないなど、どれも良い感じなのでおすすめです。
範囲としてはタレから4、5センチ四方ですかね。研ぐときに当たってしまう範囲をカバーできていれば大丈夫です。タレの上側は貼らなくてもOKです。上側はクリアコートが厚くなっているはずなので(厚くなりすぎた為にタレている筈なので)。
又、マスキングテープは何回も貼り直すので、その前提で行ってもらって大丈夫です。テープを貼り終えたらいよいよ研いでいきます。
研ぎ始める番手は320番や400番程度の粗い番手です。
仕上がった塗装面にこれだけ粗い番手を使うのは正直かなりリスキーですが、時間効率を考えるとこれくらいの番手ではないとなかなか綺麗に落とし切れません。不安な場合は1000番程度でも良いですが、時間はかなりかかると思います。
ペーパーを固い当て板に貼り付けて研いでいきましょう。
※こういったものを上手く活用していきます。サイズの大小や硬さなど、それぞれ使い分けたくなるので僕もかなりの数を持っています。
山だけを研いでいくイメージです。
山の麓の平地には一切ペーパーを当てずに山の頂上から徐々に削り、最終的には平地になっていればOKというイメージです。平地にはマスキングテープが貼られているので、そう簡単研がれる事はあるませんが、徐々に破けてくるので注意が必要です。
タレが少しとれてきたかなー?と思ったら一度全てのマスキングテープを剥がして触ってみましょう。そこで、一番初めの段階より山が低くなっていれば順調です。
次は再度マスキングテープを貼って同じ作業をしていくのですが、その際先程よりテープを貼る位置をタレから2、3ミリ空けて貼って下さい。タレとキツキツに貼ってしまうと、タレの縁の方が研がれずに真ん中だけ研がれてしまい、そこで下地がででしまう事があります。山を研いで平地にするはずが、谷になってしまうということです。
なので、タレからのマスキングテープを貼る隙間は徐々に大きく空けていきます。テープが貼れたら再度研ぎです。
タレの取れ具合ですが、この辺りから番手を上げていきたいので、800番とか1000番あたりに切り替えて研いでいきます。先ほどまでの粗い番手の目は細かくなり、タレも徐々に低くなって行く筈です。この作業を繰り返しペーパーの番手は1500番程度まで上げておきましょう。
タレが低くなり、平らになってきたら、マスキングテープを全てはがします。そして、2000番程度のペーパーで大きく研ぎならしましょう。この時点でほぼフラットになっていればかなり良い感じだと思います。
まだ、残っていたら妥協して良しとするか、再度タレ取りを行うかですが後者はあまりオススメしません。
タレ取りによって周りの塗膜は大分研がれて薄くなっているはずなので、再度研ぎ直していくとなると下地が出る可能性が高いです。なので、再度研ぎ直す場合は塗り直しもある程度覚悟して作業を行いましょう。
2000番で大きく慣らしたら、柔らかいシートの3000番で更に目を慣らし5000番で目消しを行いフィニッシュです。
タレ取りは粗い番手を使うので、最後まできつい目が残りがちですが、それぞれの番手でしっかり目消しが行われていれば綺麗に仕上げる事ができます。
⑦ツヤを出す
では、研いだ所を磨いてききます。ツヤを出す為にはコンパウンドでひたすらに磨いていきます。ポリッシャーがあれば早いのですが、なければ普通の布やバフを手に持ってコンパウンドをつけて磨いていきます。
手で磨く専用のバフです。塗料の材料屋さんから買ったので、ホームセンター等では売ってないかも…。なので、一般的なバフを手に持って磨いても良いでしょう。
コンパウンドも種類は様々で、ペイントショップさんやコーティング屋さん毎に、それぞれ使い分けたりお気に入りがあると思います。基本的に2工程から3工程で仕上げるのが一般的です。
2工程というのは目消し、仕上げの二種類のコンパウンドを使う事。3工程というのはその目消しと仕上げの中間に位置するコンパウンドを使用するシステムです。ここでは、2工程のシステムて話を進めておきますね。
まず、目消し用のコンパウンドを使います。粗いタイプのコンパウンドですね。付ける量は始めは結構多めにつけてしまいましょう。やり始めは布やバフにコンパウンドが馴染んでいないので研磨力が弱いです。なので、はやく馴染ませる為に多め推奨です。
使ってるうちにわかるのですが、多少引っかかる感じ?というんですかね。指に掛かる感じがあれば磨けてると思います。表面でツルツル滑ってるようだと、あまり磨けてはいないでしょう。研ぎ目が完全に消えるまでしっかり磨いていきましょう。
ポリッシャーを用いる場合も同じです。始めはコンパウンドを多めにつけて磨いていきます。その時バフが軽く潰れる程度に力をかけて、磨いていきます。
力を入れ過ぎるとバフがひっかかり上手く扱えません。逆に弱すぎるとしっかり磨けません。良い磨きにはある程度のプレッシャー(圧力)が必要ということがポイントです。
また、ポリッシャーを使用するのであれば霧吹きで水をかけながら磨いていきます。
※100円均一のものでも十分です。
理由は2つ。
1つは物体の熱を下げる事。ポリッシャーを当て続けるとパーツが熱を持ってきます。熱を入れ過ぎるとクリアが戻って変な跡を入れてしまうことがあります。なので、適度に熱を下げる為にも霧吹きは効果的です。
もう1つはコンパウンドの粘度を調整します。コンパウンドを付け過ぎるとベタベタになってポリッシャーが上手く回ってくれません。そういうときに水分を足してあげることで、コンパウンドが延びていい具合にポリッシャーを当てることが出来ます。
ただし、水を足し過ぎるとコンパウンドが薄くなり過ぎて研磨力が落ちるので、ほとほどが正解です。長時間磨く場合はバフの状態を適切に保つ為にもこの霧吹きの量がポイントだったりします。
ツヤを出す際、手磨きでもポリッシャーでもポイントとなってくるのがコンパウンドの量とプレッシャーです。上手く磨けない人のパターンとしてコンパウンドが全然足りない、又は力が弱すぎるというのはよくあるパターンです。
なので、コンパウンドは多めに、力もある程度入れるというのをよく覚えておきましょう。又、どーしても目消しに時間が掛かる場合は、そもそもの目が粗い可能性があります。なので、そういった場合は3000番と5000番をしっかり当てて、目を弱く細かくする事で簡単に消せるようになります。
目消しのコンパウンドで研いだところが磨かれたら、あとは全体を磨いていきましょう。上記のようにしっかりと磨いていけばOKです。
その際、ツヤが出にくいとか、部分的にツヤが極端に少ないとかいうのであれば、一度研いでしまいます。研いで磨く事でほぼ間違いなくツヤはでるはずです。
⑧仕上げ
ブツやクレーターを取り除き、肌調整も行い、ツヤが出ていてタレも無ければ、後は最後の仕上げのみです。
仕上げ用のコンパウンドというのは極細タイプなので、研磨力は非常に弱いです。なので、仕上げ用のコンパウンドで目消しやツヤ出しは難しいです。
あくまで、仕上げなのて1番目のコンパウンドでどうしても入ってしまうような微細な磨き傷を落とし、深みのあるツヤ感をだすのが目的です。
なので、1番のコンパウンドで如何に綺麗にみがけているかがクオリティを左右します。仕上げのポリッシングは全体の時間でいったら5%程度です。
仕上げのコンパウンドを付けて全体を磨いていく際の力は弱めです。特に手で磨いている際は強くやると、キズを入れる可能性があるので、最後は優しく仕上げていきましょう。ポリッシャーでも同じです。
ポリッシャーを使わずとも結構綺麗になりましたね。トータル所要時間は1:30くらいでした。ポリッシャーを使用すれば半分程度の時間で終わるでしょう。
以上が磨きの解説になります。
よりきれいなツヤを出したいとか、この状態を長持ちさせたいとか言う場合には、さらに仕上げでこういったコーティングスプレーを用いても良いかもしれません。
※作業性を重視したタイプなので効果はいずれ無くなります。耐久性に過度な期待は出来ませんが、こまめに使用してあげれば良いかと思います。
こんなに長くなるとは、思ってないかったので申し訳ございません。 塗装のクオリティは磨きでかなり左右されるので、ここをしっかり行えると塗装された部品のクオリティは非常に上がります! なので、仮に塗装がイマイチでも磨きで挽回出来る可能性は多いにあるので、しっかり覚えて実践してもらえたらと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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