排気系統の基本と始動装置の基本を解説します!

オートバイの仕組みと整備
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皆さんこんにちは。aohitoです。

前回は吸気系統のお話をしました。

冷却装置の基本を解説!そこから吸排気系の解説に入っていきます。
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今回は排気系統と始動装置の基本について解説していきます。

それではいきます!

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排気系(エキゾーストマニホールド ・エキゾーストパイプ)

 各シリンダーからの排気ガスを外に送る通路であり、マフラーへの通り道です。マフラーというとエキパイも含んだものと思う方もいらっしゃるようですがエキゾーストパイプ(エキパイ)とマフラーは別物です。

マフラー

カスタムの王道ポイント、マフラーです。オートバイを購入したら、まずここを変える方は多いのではないでしょうか?マフラーを変更すると、見た目や音が変化して乗っていて楽しくなりますよね。しかし、一番の目的は消音です。

 時々見かけませんか?マフラーがついておらず、エキパイだけのオートバイ。あれってめちゃくちゃうるさいですよね。それだけエンジンからの排気音というのは大きいのです。だから、消音しないとまずいですよね。

 基本的には排ガスの温度と圧力を下げて消音するのですが、方法としては…

  • 排気の通路を狭くして消音
  • 管の面積を急に大きくする事で圧力を下げて消音
  • 吸音材で音を吸収して消音
  • 排ガスの温度を下げると圧力が下がるので消音

などがあります。これらの方法を組み合わせてマフラーを作っているのです。

 排気系統のエキパイやマフラーは走りの部分にもかなり影響しています。筆者が以前、アメリカンに乗っていた時、マフラーを太いものに変えた事があります。その方が低い音がして見た目も好みだったんですよね。ただ、交換後走ってみるとびっくり、めちゃくちゃ遅い。(笑)

 当時はあまりオートバイの知識が無かったのでびっくりしました。マフラー1つでこんなにも違うのかと。見た目には径も確保されてしっかり排気されそうなのですが、太ければ良いってものではないのです。

 空気が流れる際、通路を細くしてあげれば流速が早くなるという性質があります。(ベンチュリ―効果)なので、この場合、径が太すぎてこの効果が十分に得られず、結果的に排気効率を落とし、パワーダウンに繋がったという事です。

 なので、エキパイやマフラーの太さや長さ、材質など、特色を出す為に各メーカー様やショップ様が様々な知恵を持って開発にあたっているのだと思います。

 今ではよく見る集合管もより高性能を目指して生み出されたものです。あれは、例えば4気筒エンジンの場合、1番と3番、2番と4番のエキパイが途中で合流しています。エンジン内で燃焼行程が終わり、排気される際に、後ろでは引っ張られる力が働きます。それを吸気工程に移っている別の気筒の吸入力に変えているのです。それにより、吸気排気効率を向上させてパワーアップに繋げています。この辺は長くなるので、別記事で詳しく紹介していきますね。

 排気系の基本の解説は以上です。
 吸気・排気系はもっと色々詳しい話があるのですが、基本はこんな感じです。
 マフラーやエアクリーナーを変更すると見た目も乗り味も変わって、より自分のバイクに愛着が湧いてくるものかと思います。ただ、その分逆にうるさすぎたり、低速での走りが悪くなったり、車検に不適合だったりする事もあるので、よく考えてカスタムするのが良いでしょう。
 なんだかんだ純正マフラーってバランスよく出来ていますしね。

始動装置

 ここからは始動装置に入っていきます。

 エンジンは最初にきっかけ(回転)を作ってあげなければ掛かりません。それを行うのが始動装置。つまり、セルモーターです。

 セルモーター自体は小さいのですが、圧縮圧が掛かったエンジン内の鉄製部品を回すのですから相当なパワーを持った電気部品です。

 構成としてはスタータ(セルモーター)、スタータスイッチ(イグニッションスイッチ)と、配線などで構成されています。スタータはエンジン本体に取り付けられていて、リングギアを介してクランクシャフトを回します。その働きでエンジンが掛かるという仕組みです。 

 スターターは主に2種類に分けることが出来ます。

 モーターの回転をそのままピニオンギア(エンジンのリングギアとかみ合っているギア)に伝える直結式。モーターの回転を内部のギアで減速してトルクを増大してからピニオンギアに伝えるリダクション式があります。リダクション式の方が、モーターを高速化して小型軽量化が出来るのでこちらの方が一般的ですね。

スターターの構成

として、大まかに分けると、モーター、オーバーランニングクラッチ、マグネットスイッチの3部位に分けられます。

オーバーランニングクラッチ

 エンジンの回転によってスターターが回されてしまい、破損するのを防ぐ仕組みになっています。つまり、エンジンがかかった時に、スターター以上の回転数でエンジンによって回されてしまうとスターターが壊れてしまうので、そうなった時には空回りさせる働きがあります

 セルを回しっぱなしにしているとシャーって音しますよね?これはオーバーランニングクラッチの働きで空回りしている音です。

マグネットスイッチ

 モーターに大電流を流し、ピニオンギアを動かす役割があります。

モーター

 高速で回転してエンジンを回す役割を持っています。

モーターはどうやって回転するの?

 では、どうやってモーターは回転しているのか?小学生くらいの時に理科の実験で習った事だと思うのですが、かんたんに説明しておきましょう。

 まず、磁石には反発力と吸引力があります。同じ極(N極とN極、S極とS極)だと反発して、違う極(N極とS極)だとくっつく性質です。N極とS極の2つの磁石の間にコイルを巻きつけた鉄心を置き電気を流します。するとこの鉄心は電磁石となりどちらかの磁石に吸引、及び反発しようとします。その時に電気の流れる方向を逆にしてあげると電磁石の極が入れ替わり再度吸引及び反発します。

 この切り替えを高速で繰り返すことで常に電磁石はどちらかの磁石にくっつく事なく回り続けるという仕組みになっています。

 又、セルを回している時に各種インジケーター(メータ内のランプ)が消えるのはバッテリーからの電力をほぼ全てセルモーターに集中させて大電流を流しているからなのです。それだけ、エンジンを回すには力が必要で負荷がかかるという事です。

 メカニックをしていた時にバッテリー上がりをよくさせてしまうお客様がいらっしゃいました。その方は通勤でバイクを使っていたのですが距離が近く、時間も短時間であった為にバッテリーへの充電より、エンジンをかける時の消費電力が上回ってしまっていたのが原因でした。それだけ、セルモーターを回すのは高負荷だという事がポイントかなと思います。

バッテリー

 バッテリーは構造上、電解液を補充しなければいけなかったのですが、最近では補水を必要としないMFバッテリー(メンテナンスフリーバッテリー)が主流になっています。

構造

 簡単に説明するとバッテリーからの電気というのは化学反応で取り出されているものです。陽極版と陰極版といわれる格子状の板が組み込まれており、中は電解液(水と硫酸を混合したもの)で満たされています。そこで化学反応が起きて電気を取り出しています。

放電

 充電されたバッテリーに電気回路を繋げて電気を取り出すことを放電といいます。

 電流は極板と電解液が化学反応を起こして、取り出すわけですが、その時極板が硫酸鉛に代わっていきます。と、同時に水も生成され電解液は薄くなってしまうので反応が弱くなり本来の電圧を発生させる事ができなくなるのです。

 電気回路をつながずとも放電してしまうことを自己放電といいます。バイクを放置していて久しぶりに乗ろうとしたらセルモータが回らないって経験がある方も多いのではないでしょうか。あれはバッテリー内部の硫酸鉛等により局部電池(内部で電池が出来てしまってそこで反応してしまう)が出来てしまう事や、表面の湿りによって回路が出来てしまい電気が漏れる(リーク)事などが考えらます。

 バッテリーは充電すればずっと使えるように思えてしまうのですが、実際そうではないことは皆さんご存じかと思います。それは、『充電によって電圧は一時的に上がったように見えるが容量は減少している』からです。容量とは完全に充電されたバッテリーが、一定の電流を放電し続けた場合に、放電できなくなる時間までに取り出せた電気量を言います。

容量(Ah)=放電電流(A)×放電時間(h)で表せます。

 なので、バッテリー上がりをしてしまったバッテリーや、長く使われたバッテリーは容量そのものが低下してしまうので、早めに交換してしまうのがbetterでしょう。

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個人的にですが、バイク乗りなら一台は持っていた方が良いと思うアイテムです。特に、頻繁に乗れない人は是非持っておきましょう。

 始動装置の解説は以上です。
 覚えておいて欲しいのは“チョイ乗りは逆にバッテリーを弱らせる可能性が有る”そして“始動時に一番電気を使う”っていうところですかね。
 それを知っているだけでもバイクのバッテリーを上がらせてしまうことは減ると思うし、いつも快適に乗り続けられるのではないですかね。

 次回は電気装置についてです。

電気装置の基本を解説!〜ダイオードの種類と充電装置の構造〜
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