塗装の下地って何するの?〜基本のアシ付けからサーフェーサーの下地【No.1】〜

塗装の知識と実践
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 皆さんこんにちは。FLAG-UPの中島照文です。

 前回は下地に必要な道具を紹介しました。

塗装のクオリティは下地で決まる!~下地に必要な道具たち~
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 今回は下地作業の基本中の基本、アシ付けです。これを行わないと塗装はどんどん剥がれていきます。

 併せて、ケース毎にサーフェーサーを塗装する為の下地方法を解説していきます。

 それではいきましょう!

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そもそも下地って何?

 さあ、実作業です。一口に下地作業と言っても目的に合わせて様々な行程があります。なので、順を追って基本的な所から上げていきたいと思います。

 まず、始めにそもそも下地って何?と思うでしょう。

 簡単に言ってしまうと「表面に細かなキズを付けて塗料がしっかり密着する地を作る事」です。

足付けの仕組みを理解するため

 表面がツルツルしていると塗料も滑って、しっかりと食い付きません。これでは、密着不良を起こし塗装が剥がれてしまいます。なので、細かなキズを付け、表面をギザギザにするわけです。すると足場が出来たようなものなので塗料がしっかりとそこに喰いついてくれます。

 これをアシ付けと呼びます。塗装の仕組みを分からないと、ついつい真っ先にスプレー缶を持ってしまいますが、ここはとても大切な部位になります。

 まず、しっかりとアシ付けを行い塗装に入りましょう。

 アシ付けの道具ではアシレックスシートや、木工用ではありますがユニウール、耐水ペーパーで行います。番手ですが、1000番~1500番程度が良いでしょう。600番や800番だと目が荒くて塗装後に研ぎ目が目立つ可能性があります。

 特に、オートバイは車などと違い、塗装された対象物との距離が近いのでちょっとのアラも気になりやすいです。逆に2000番などでは目が細かすぎて塗料が喰いつかない可能性があります。

基本となる下地作業

 以上のことを踏まえて、一番基本的な作業を2つ上げていきます。

①キズは無くて、塗られている部品

 ここでのオススメ手順として、まず1000番の耐水ペーパーで全体を研ぎます。その後、ユニウールやアシレックスシートの1200番や1500番でアシ付けをするのが、キレイに仕上がるかと思います。

細かい番手も入っていますが、磨き作業等でも使えるので無駄にはなりません。

ユニウールの1500番です。サーフェーサー研ぎや、中研ぎでも使うので使用頻度は高いです。

アシレックスの1200番です。ユニウールより若干キツめの目が入ります。

 

アシレックスのベースとなるパッドです。

 耐水ペーパーの目的としては小キズを落とす事、又クリアコート表面のブツと呼ばれるゴミを取り除く事です。

 キズやブツがある状態で、いくら上から塗装をしても残る場合があります。なので、ここで耐水ペーパーでしっかりと落としてあげると良い仕上がりになるかと思います。

 ユニウールやアシレックスシートの掛け方としては、あまり力を入れすぎず、クリアコートが研磨されて手に引っ掛かる感じがあるくらいが良いかと思います。「それってどんな感じ?」ってツッコミが入りそうですが(笑)、この辺りは感覚による所が大きいので、実際やってみて自分で理解するのがベストだと思います。

 その時、一方向にかけて行うのではなく、クロスや円を描く様に、様々な方向からアシ付けをしてあげると、剥がれにくい良い下地つくる事が出来ます。全体が満遍なく雲ったらOKです。

 その後、水をかけれないもの、例えばヘルメットや電気部品が付いているものなどは、よーく脱脂をしてあげて作業完了となります。脱脂の前に濡れ拭きをして、表面の研ぎ粉などをきれいに拭き取ってあげると、作業効率的にもベストかと思います。

 水を使える部品であれば、この後、ウォッシュコンパウンドと言われるコンパウンドをユニウール等に付けて、良く泡立てながら水で洗ってあげれば完璧です。ウォッシュコンパウンドには研磨剤が入っているので、この洗浄作業にはアシ付けも含まれています。油分も落としてくれるので、なかなか優れものです。

 新車であったり塗られた状態で販売しているパーツ、又状態の良い中古車両などがこれに当てはまります。つまり、キズも無くてしっかり塗装されているよ!っていう部品の事です。

②キズはないけど、塗られていない部品

 これはプラスティックパーツに多いです。プラスティック素地のまま、車両に取り付けられているパーツです。実際はクリアコートだけ吹かれていたりする場合があるのですが、おそらく判断が難しいので、新品プラスティックパーツの色無し部品はこれから記載する方法でオッケーです。

 始めの、脱脂洗浄は同じです。その後、耐水ペーパーは使わず、アシレックスシートやユニウールの800番程度の番手で細かくしっかりアシ付けを行います。

耐水ペーパーは使っても良いですが、耐水ペーパーの意味合いとしては、塗装表面のブツを取り除くなので、無塗装品であれば関係ありませんからね。

 塗膜ではなく、素地にアシ付けを行うので、多少粗い番手の方がしっかりとアシ付け出来るので、こちらを推奨致します。

 その後は、ウオッシュコンパウンドで仕上げの洗浄を行い、作業完了です。

◎以上の2つのパターンをまとめると…

①耐水パーパーでブツをとる。(塗装されている場合)

②アシレックスシートやユニウールで全体をアシ付けして曇らす。

③水が使えればウォッシュコンパウンドで仕上げの洗い。

④綺麗に乾かして脱脂してフィニッシュ!

 です。これが基本のアシ付けになります。この基本的な作業の上に凹み修正やパテ修正などが乗ってくるといったイメージです。

 この後は塗装の行程に移っていきます。

 個人でここまでやるのも、なかなか大変ですが、ここではプロが行うやり方を紹介してきました。

 ここまでが、一番基本的な下地作業の流れです。ただし、実際は部品の状態によって作業は大きく変わっていきます。

 なので、まず大切なのは「塗りたい、直したいパーツの状態を知った上で適切な作業を行う」という事です。

 『パーツの状態なんてよくわからないよ!』と、思うでしょう。

 なので、オートバイのペイントで考えられる様々な状態に合わせた作業手順をあげていくので、引き続きご覧になっていただければ嬉しいです。

サーフェーサーから塗装する部品

 こういった場合はサーフェーサーから塗装した方が良いかと思います。

①塗膜の密着が悪い

②塗膜の状態が悪いので全て塗膜を落としたい。

③凹み等を修正してパテ等を用いた。又、パテを使わずとも修正作業を行った

④塗装のラインなどのデザインを落として塗りかえたい。

⑤新品で状態も良さそうだが、クオリティアップをしたい

 大体、こういった時にはサーフェーサーを塗装します。なので、その場合に合わせた下地を行う必要があります。

①塗膜の密着が悪い場合

 密着なんてどうやってわかるの?と思いますよね?やり方としてはシンプルです。なるべく強力なガムテープなどを塗装面に張り付け、勢いよく剥がします。これを何度か繰り返し、剥がれなければ第一段階としてはオッケーです。密着不良を起こしている塗膜はこの段階で簡単にバリバリ剥がれていきます。

 次は、塗膜を研いであげて、素地の状態までもっていきましょう。すると、塗膜が層のように塗り重ねられていると思うので、そこをツメなどで構わないので、あえて剥がれるようにめくってみましょう。塗膜の密着というのは非常に強力なので、しっかり密着していればツメ程度では剥がれません。

 もし、ここで簡単に剥がれたら密着不良を起こしています。その際、塗膜の層のキワが艶があって光っていると密着不良を起こしているかもしれないので、そこも要チェックです。ここで、剥がれなければ第2段階もオッケーです。

 最後のチェックとして、その下地が出ている研いだ箇所を溶剤に浸してみます。ウエスや薄手の布など置き、そこにシリコンオフやワックスオフなどの溶剤をかけて、ヒタヒタの状態にして、1.2分放置します。その後、再度塗膜の際をツメでカリカリとチェックして剥がれてこなければ、この塗膜はしっかりと密着していると判断して良いでしょう。

丈夫なウエスなので、すぐにボロボロになったりしないのが良いですね。ある程度、使いまわせますよ。

弱めの溶剤なので、下地を侵し難いです。塗装前やパテ盛り前の洗浄、下地後の洗浄など使用頻度は非常に高いです。

フェザーエッジは覚えておきましょう

 ちょっと長くなりましたが、ここまでが塗膜の密着テストになります。 この段階で塗料が剥がれてしまった場合はサーフェーサーを塗装する為の下地作業を行います。

 基礎知識として覚えておいて欲しいのですが、塗膜を研ぐと、層のようになっていますよね?その上の部分と下の部分の境目をフェザーエッジといいます。鳥の羽のようにフワッとした感じに見える事からそう呼ばれるようになったそうです。まあ、実際そう見えるかどうかは微妙ですが(笑)。

 次回に続きます。

ケース毎のサーフェーサーの下地方法【No.2】〜剥離剤やキズ修正を行った場合〜
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 ここまで、読んで頂きありがとうございます♪

コメント

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