キャブレターの機能や構造について細かく解説【No.2】〜各系統ごとの働き〜

オートバイの仕組みと整備
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 皆さんこんにちは。FLAG-UP代表の中島照文です。

 前回に引き続き、キャブレターについて解説していきます。

キャブレターの機能や構造について細かく解説【No.1】〜混合気やキャブレターの原理について〜
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 キャブレターはフロート系統やメイン系統など各系統毎に別々の働きをしているので、それぞれに分けて解説していきます。

 系統ごとの働きを理解してもらえれば、最後にまとまった一つの姿が見えてくるかと思います。

 それではいきましょう!

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フロート系統のシステムと構成部品

 まずはフロート系統から行きます。

 フロート系統はキャブレターに溜まったガソリンの油面を一定に保ち、安定したガソリンの供給を行う為のシステムとなります。

 キャブレター下部のフロート室にはガソリンが溜まっており、この油面の高さが高過ぎると負圧で吸い出されるガソリンの量が増えてしまい濃い混合気となってしまいます。逆に油面の高さが低過ぎると同じ負圧でも、吸い出されるガソリンの量が減ってしまうので、薄い混合気になってしまいます。この、油面の高さを油面レベルと言います。

 燃料を消費して油面レベルが、下がるとフロート(浮き)とフロートバルブが下がるので燃料が流入してきます。燃料が流入して油面レベルが高くなるとフロートとフロートバルブは持ち上がりフロートバルブがバルブシートに突き当たります。それにより流入経路を止めて、それ以上ガソリンが入ってこないように働きます。

 この動きを絶えず繰り替えす事で油面レベルを一定に保っているのがフロート系統の役割です。

構成部品の役割

フロート

 フロートは軽いプラスティックのような素材で燃料に浮いています。釣りに用いる浮きと同じようなイメージです。この浮きがセンサーのような役割を果たしていて油面に合わせて上下に動き、その動きをフロートバルブに伝えます。

フロートバルブ

 フロートバルブはその小さなボディの中にスプリングを持っています。そのスプリングの力によってバルブシートに軽く押し付ける形になっているので、走行中の振動で隙間が空いてガソリンが入ってくるということを防いでいます

フロート室

 負圧によってガソリンを吸い出す為には、フロート室は大気圧になっていなければいけません。なので、フロート室を大気圧に保つ為、エアベント通路が設けられておりキャブレター外部と繋がっています。これによりフロート室の燃料には大気圧が掛かっている状態になります。

オーバーフローパイプ

 バルブとシート部分にゴミが混入したりといった“なにかしらの理由でバルブが閉じなくなる“と、燃料が止まらずにどんどん流れて来るので、油面が高くなりフロート室がガソリンで満たされてしまいます。オーバーフローパイプはそれを防ぐために設けられた通路で、一定の油面レベルを超えるガソリンを外部に放出する役割があります。

スロー系統のシステム

 では、ここからはスロー系統の解説です。

 名前の通り低速域での燃料の制御をしています。エンジンが低速で回転している時はスロットルバルブが少ししか空いていません(全閉から4分の1程度)。すると、吸入側の圧力が低くなるためにエンジンで燃焼が起きた際に発生する残留ガスの吹き返しの影響を受けてしまいます。吹き返しがあると新しく吸入される空気量が減ってしまい混合気が薄くなってしまいます。

 それを防ぐために予め混合気を濃くすることで、低速域での混合気が薄くなる事ことを防いでいます。これが、メイン系統とは別にスロー系統が設けられている理由になります。

スロー系統の流れ

 スロー系統ではエアクリーナーを通過した空気はメインボアとは別にスローエアジェットを通り空気の量を規制されます。スローエアジェットを通った空気はスロージェットのエアブリード孔からスロージェットに入り込み吸い上げられた燃料と混ざり合います。そして、パイパス穴からメインボアに入り燃焼室へ送られます。これがスロー系の空気とガソリンの流れになります。

 又、スロー系統には3つのスクリュがあり調整の際に必要な部位なので覚えておきましょう。

エアスクリュー

 エアスクリューはスロージェットへ繋がるエアの流入量を制御することができます。エアスクリューをねじ込むと空気の流入量が減るので濃い混合気になり、緩めるとエアの流入量な増えるので薄い混合気になります。

パイロットスクリュー

パイロットスクリューはスロージェットを通過した混合気の吐出量を調整する事ができます。

 エアスクリューとパイロットスクリューはごっちゃになりそうな所ですが、エアスクリューは空気。パイロットスクリューは混合気を調整しています。

スロットルストップスクリュー

 スロットルストップスクリューは、スロットルバルブ開度を微調整する事が出来ます。季節によってアイドリング回転数が多少変化する場合もあるので、そういうときはこのスクリューで調整してあげるといいでしょう

メイン系統のシステム

 ここからはメイン系統の解説です。

 スロットルバルブを開けエンジン回転数が高くなると、より多くの混合気が必要となってきます。すると、スロー系統からメイン系統へ燃料の供給経路が変わってきます。

 スロットルバルブ開度が8分の1から2分の1程度では、メインボアを通過する空気がジェットニードルとニードルジェットの間に出来た隙間から燃料を吸い上げます。

 この燃料はメインエアジェットから流入した空気がニードルジェットホルダーのエアブリード孔から入り霧化させたものです。

 さらにスロットルを、開けていきます。

 スロットルバルブ開度が4分の1から4分の3程度では、ジェットニードルのテーパー部分が吸い上げるガソリンの量を制御します。

 ジェットニードルは先端にいくにつれ細くなるテーパー状になっているので、開度が少ない状態ではジェットニードルとニードルホルダーには隙間があまり空いていません。しかし、スロットルを開けてニードルが上昇すると、その形状からニードルとホルダーとの間の隙間が大きくなっていきます。それにより、燃料の通り道が大きくなり燃料供給量が増えるのです。

 ピストンバルブ式ではジェットニードルにクリップする溝があり、どの溝にクリップするかでニードルの位置が変わり、燃料の濃い薄いを制御することが出来ます。ニードルの上の段から1.2と数えていき、数字が大きい溝にクリップするほど、燃焼の通り道が大きくなるので、燃料供給量が多くなります。

メイン系統の流れ

 エアクリーナーを通過した空気はメインエアジェットを通過し、メインジェットのブリード孔に入り込みます。そこでメインジェットから吸い上げられた燃焼と混ざり合い混合気となり、ニードルジェットを通過してメインボアへと辿り着きます。

 スロットルバルブ開度が2分の1程度から全開ではベンチュリ径が一番大きくなり、入ってくる空気の量も最も大きくなります。その状態だと、ニードルジェットとジェットニードルの隙間も最大となり吸い上げられるガソリンの量を制御しきれなくなります。それでは適正な混合気が作れなくなるので、ガソリンの流入量はメンインジェットにより制御して、必要以上に濃くなることを防いでいます。

 今回は以上になります。

 次回は各ジェット類の解説からしていきたいと思います。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました♪

コメント

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