皆さんこんにちは。aohitoです。
前回に続き、サスペンションの解説になります。
それではいきましょう!
スプリングについて(続き…)
オートバイのスプリングは生産の段階で決められた数値で出荷されているので、新車ではみんな同じ値に設定されています。
しかしそのバイク、誰が乗るかなんてわかりませんよね?
40キロ台の小柄な女性が乗るかもしれないし、80キロ台の大柄な男性が乗るかもしれない。もしかしたら、タンデムがメインの乗り方もするかもしれない。これだけ掛かる重量に違いがあるバイクだからこそ、スプリングアジャスターによる調整というのはとても大切になってきます。
基本的に車載工具に入ってると思うのですが、専用の工具でアジャスターを回しプリロードを調整します。一般的なサスペンションでは5段階切り替えになっていると思います。このプリロードを1番弱くすると乗り心地がソフトになって、サスペンションの伸び縮みを感じやすくなります。
なので、体重が軽い人や街乗りがメインでタンデムもしないというのであれば、プリロードを弱めてあげた方が乗りやすくなるかもしれません。逆に、体重が重く高速域での走行が多い人はプリロードを強めてあげた方が乗りやすいかもしれませんね。
サスペンションの調整というと複雑かつ難しく感じるし、上級ライダーが行う事のように感じるかと思います。確かに、細かく調整して究めようと思うと、相応の知識と経験がなければ難しいです。が、街乗りメインの一般的なライダーも、ちょっと調整するだけで動きが変わってくるので、興味を持ってやってみるのも面白いでしょう。
その時も、元の数値をしっかり記録しておけば、おかしな事になってもしっかり戻ってこれるので安心ですよ。
また、サスペンションの下側に黒い三角型のゴム部品がついていると思います。これはパンプラバーといい、サスペンションか1番沈み込んだ時に金属同士がぶつからない為に装着されています。
エアサスペンション
例外的な物ですが、簡単に解説しておきます。
バイクでも、エアサスペンション車両は少数ですが存在していて、主にツアラー系とか一部のオフロードバイクに採用されているようです。
スプリングの代わりに密封された圧縮エアがその働きを担っています。機械的なバネを取り払ったことで、乗り心地が向上。サスペンションがヘタレにくく、軽量化にもつながったのが大きなメリットです。
ダンパーについて
では、スプリングと対をなすダンパーについてです。
ダンパーの役割はスプリングの動きを抑え適度に減衰させることです。それにより乗り心地を向上させたり、路面からの衝撃や車体そのものの運動を押さえる役割を果たしています。
ちょっと難しい言い方をすると、運動エネルギーを熱エネルギーに変換して、大気に放熱しています。ここほ、ブレーキと同じですね。
減衰力の生み出し方
では、ダンパーの大きな役割である減衰力をどうやって生み出しているのでしょうか?
油圧式ダンパーをベースに説明してみます。基本的な原理は吸い上げポンプに似ています。オイルで満たされ、閉じられた筒をピストンがホイールやスイングアームの動きに応じて上下にストロークします。その時、オイルも同じく上下に動きます。しかし、オイルにはオリフィスと呼ばれる小さな穴しか通り道がありませんので、そこを通る時に大きな抵抗力が生まれます(流動体が動く時の粘性抵抗)。これが減衰力(ダンピングフォース)です。
つまり、簡単に言ってしまうとオイルが小穴を通る時の抵抗が減衰力です。イメージはお風呂をかき混ぜる時みたいな感じです。水しか入っていないのに結構抵抗を感じますよね。
減衰力はオリフィスの穴の大きさや形状によって調整する事が可能です。
ダンパーのエア室役割
オイルを使用しているダンパーにはエア室があります。
ダンパ内で伸び縮みをした、ロッド分の体積の増減が出てくるのでそれをエア室で吸収しています。空気は体積を変えることができますからね。オイルとピストンが動いた分をエア室でカバーしているイメージです。
エア室がないとピストンが動けなくなって伸び縮み出来なくなりますので、必ず必要なスペースと言うことになります。
ただ、ステアリングダンパーに関しては構造的にエア室の必要がないので、エア室は無いようですね。
ダンパーの種類
フリクションダンパー
内側の筒と外側の筒の摺動抵抗を減衰力としているものです。構造は非常にシンプルな為、コストは安いのですが、減衰力が安定せず調整もできません。
グリースダンパ
これもフリクションダンパーの一種で内側の筒と外側の筒とその周辺にグリスが塗布されていて、そのグリスが減衰力を発生させています。こちらもコストは安く、減衰力の特性としても単純なフリクションタイプより良くなります。しかし、それもやはり不安定で調整範囲も狭くなっています。
加圧式ダンパー
ダンパー室の上部に窒素ガスを封入して、オイルに圧力をかけているのものをガス加圧ダンパーといいます。では、何故高圧ガスが必要なのか?ですね。
ダンパー内のピストンが上下に激しく動いていると、ピストンバルブを境に低圧側、高圧側が出来ます。その低圧側に気泡(エマルジョン)が発生して減衰力が不安定になる現象が起こります。これをキャビテーションと言います。これを抑えるために、あらかじめガスによって高圧力をかけてキャビテーションを防いでいるのです。
何故、加圧するとキャビテーションが防げるのかというと、それには液体の特徴があります。液体は、温度や圧力が高いと、液体中の気体をよく溶かすという性質があるからです。
加圧ダンパーには、別途サブタンクを設けているタイプもあって、それをリザーブタンク方式といいます。ネイキッドやスポーツ系のバイクには多く使われている、あの小さいタンクが付いたクッションです。
本体の他にガス室を設けているので、リア周りという限られたスペース内でも、必要なストローク長をしっかりと確保する事ができます。又、別体のタンクを持つことで、ダンパーオイルの冷却性を向上させるとともに、多くのオイルを持つことも出来るようになりました。
シングルチューブ
シングルチューブは一本の筒の中に、オイル室とエア室を分けてつくられており、シンプルで安価な為に小型車などに多く使われています。ピストンロッドがダンパーボディの下側にくるものを倒立式、ピストンロッドが上に来るものを正立式といいます。
ダブルチューブ
こちらは、筒の中にもう一本チューブが使われている二重構造になっています。なので、ダブルチューブと言われています。小型車から、大型車まで幅広く使われています。エア室は、内側の筒の外側にあり、オイルは内部の筒の内側と外側を行ったり来たりする構造になっています。
以上が主なダンパーの説明になります。 ここであげたのは、基本的なサスペンションの構造やはたらきなので、実際は各メーカーによって様々な方式がとられています。 最近では電子制御サスペンションがすごいなと思っています。まだ一部の高級車ですが、今後はもっと広く多くの車両にも使われてくるかもしれません。 どんどんバイクが高性能になっていくのは良い事だと思うのですが、その分値段もどんどん上がってきているので、メーカーさんには頑張ってもらいたいなーなんて思ったりしています。笑
ここまで読んでいただき、ありがとうございます♪
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