皆さんこんにちは。aohitoです。
前回はスプレーガンの構造とガン距離を解説しました。
今回は塗装作業のもう一つの大切なポイント“送り”と、実際の塗装の流れに沿って“プライマーの塗装”から順に解説していきます。
それではいきましょう!
送り(はこび)
これも、とっても大切なポイントです。ガンの特性上、吹き付けられた塗料の中心部分は厚く塗装され、外側の方は薄くなります。これを気にせずに塗装していくと、ムラだらけで、不均一な膜厚が形成されてしまいます。
なので、薄くなってしまう部分は塗り重ねる事で均一になるように塗装します。つまり、パターンの外側の薄い所をもう1度、今度はガンの中心部分で狙っていくということです。そうする事で、均一に塗料を吹いていく事が出来ます。
この時、もう1つ大切なのが、送りの速さ=ガンを動かすスピードです。早過ぎると塗料がしっかり乗らず、薄くなってしまいます。逆に遅過ぎると塗料が乗りすぎてタレてしまったりします。なので、適正なスピードで塗装していくのを意識しょう。(プロにはそれぞれやり方があるのでまたまた一概には言えません)
順番としては、目立たない所から順番に塗っていくのが良いかなと思います。最後に目立たない所を塗ると、その時のミストがメインの部分に乗っかってザラついたりするからです。
又、上から下でも、下から上でもいいので物体を1つの面として捉えて何分割かに分けて考えて塗装していきましょう。
例)バイクのタンクを塗るとして
タンクのフチを一周塗る→タンクを左側面、上面、右側面と3分割にして考える→左側面を下から上へ塗る→上面を後ろから前へ塗る→右側面を下から上へ塗る
と、言った感じです。この際、分割された隣接部分はしっかり塗り重ねるように意識しましょう。まあ、これは1つの例です。実際はもっと細かく分割する事もあるでしょう。
まとめると…
・塗料を塗り重ねる事で膜厚が均一になるように塗り進めていく。
・その際ガンの送るスピードは遅過ぎず、早過ぎず一定で進めていく。
・塗られる物体を頭の中で分割して捉え塗り進めていく。
こんな感じです。初めは平の板などに、等間隔でマスキングテープを貼ったりして、練習してみても良いかもしれませんね。
プライマー、及びサーフェーサーの塗装
では、塗装の流れに沿ってプライマーとサーフェーサーの塗装から説明していきます。基本的な塗り方やスプレーガンの送りは前述したものと同じです。ただ、口径が違うのと、サーフェーサーは膜厚を付けたいので、ベースコートやクリアコートより厚めに塗装します。
プライマーの塗装
サーフェーサーを塗装する場合はその前に確実に塗装しましょう。サーフェーサーの密着を向上させ、鉄形の部品には防錆効果があります。
プライマーとサーフェーサーの機能を持ったプラサフを塗装するなら以下の塗り方ではなく、後述するサーフェーサーの塗り方で行いましょう。では、プライマーの塗り方です。
①ガンを洗浄して、ストレーナーを用意しましょう。
※ガン吹きするなら必須です。塗料によってストレーナーの目を変えたりもするのですが下塗りであればそこまで気にしなくても平気でしょう。
②マニュアルを確認し、プライマーを配合しましょう。
※一液型のプライマーです。鉄系、プラスティック系とプライマーは分けたほうが理想的かとは思います。ただ、缶から出して、素材を選ばずにそのまま使えるで、作業性は良いなと思います。
③ストレーナーを通してカップにプライマーを入れましょう。
※バイクの塗装であれば1リットルも入れば十分です。スタンドと攪拌棒等のセット品で、これだけの量が入っていれば結構お得かと思います。
④塗装しましょう。
プライマーの塗り方のポイントは薄くです。下地が透けるくらいで、全体が満遍なく染まる程度に行います。又、部品のフチにもしっかり塗装するのは当たり前ですが、裏側も巻き込んで塗装してあげると、密着不良によるハガれの防止になるので、そこも意識して塗装してあげると良いでしょう。
⑤乾燥
プライマーのツヤが引いたら熱をかけます。夏場の日光があたる所とかであれば、そのまま15分程度放置しておけば乾くでしょう。冬場もヒーターなどで同じくらい熱をいれてあげましょう。実際、プライマーは薄くしか吹かず、乾燥も早い為、熱をかけなくても平気かもしれませんが、熱をかけた方がbetterです。
※専用ヒーターはちょっと高価かなと思いますが、一台あると非常に便利ですね。
プライマーが乾燥したらサーフェーサーの塗装です。
サーフェーサーの塗装
①プライマーを塗装した後であれば、スプレーガンを良く洗いましょう。
※洗浄用なので、安いものがオススメです。
②マニュアルを確認してサーフェーサーを配合しましょう。
※2液タイプのサーフェーサーです。配合の手間はありますが、クオリティや耐久性を求めるなら2液の方がオススメです。プラサフなのでプライマーの効果もあるとは思いますが、基本的にはプライマーとサーフェーサーを分けて吹くのが理想的な工程だと思います。
③ストレーナーを通してカップにサーフェーサーを入れましょう。
④塗装しましょう。
サーフェーサーは3回程度で仕上げましょう。ただ、パテの歪みやペーパー目が目立つなどの理由があった場合は4回、5回と塗装してもOKです。特に缶スプレーの場合は膜圧が付きづらいので重ねて塗装しましょう。
(塗装例)
1回目→下地が透ける程度にうっすら塗装します。ここで、一気に塗装してしまうとハジキ等の不具合が出る可能性もあるので、一回目はうっすらとです。
2回目→2回目はしっかりと塗っていきます。ツヤが出るくらいですね。サーフェーサーは膜厚を持たせて、下地の歪みやペーパー目などをカバーしていきたいのでしっかりと塗り込みます。ただ、あまり意識し過ぎるとタレるので要注意です。
3回目→最後の塗装です。しっかり塗り残しがないように全体を塗装しましょう。サーフェーサーは肌が多少悪くても、その後、研いでしまうのでそこまで問題ありませんが、極端にザラついたり、ゴツゴツした肌になってしまうと後の研ぎ作業で時間がやたらと掛かってしまうので、そこは注意しましょう。又、サーフェーサーが薄い所があると研ぎの時に下地が出てしまいます。すると、再度サーフェーサーを塗装しないといけなくなってしまうので要注意です。
以上がサーフェーサーの塗装です。併せて、部分的なサーフェーサーの塗装についても解説します。
部品サーフェーサーの塗装
サーフェーサーは部分的に塗装する事もあります。部品的なキズを落とした時やデカールを落として段差が出た時などです。そういった場合は全体にサーフェーサーを塗装しても良いのですが、大変になってしまう事もあるので、部品サーフェーサーで進めます。
まず、キズ修正の項目で説明した方法でキズを修正して下地作業を終えます。その後、周りをマスキングします。
※新聞紙等でマスキングを行っているのを見たことありますが、あまりよろしくないですね。インクが他の場所に付くと、後に工程に影響が出ることが考えられます。なるべくこういったものを使いましょう。
※紙タイプもあります。
マスキングの方法はマスキングテープを半分に折って貼り付けます。つまり、テープがしっかり張り付いてるのではなく半分が浮いている状態です。そうする事で、マスキングのキワの部分で塗料がグラデーションのようにボケてくれます。
すると、サーフェーサーを研ぐ際に段差を取りやすくなります。部品サーフェーサーの研ぎで一番難しいのは段差を綺麗に落とす事です。なので、塗装の際もここを念頭に置いてサーフェーサーを塗装します。
ここでのサーフェーサーも3回で仕上げていきます。
(塗装例)
1回目→まず、修正部位をメインに薄く塗装します。下地が透けて見える程度です。他の解説でも書きましたが、1発目を薄く塗装する事でハジキ等の不具合を防ぐ事ができます。なので、1発目は薄くというのを頭に入れておいてくださいね。
2回目→では、2回目からしっかりと膜厚がつくように塗装をしましょう。しかし、部分サーフェーサーの場合は修正箇所の周りの方は膜厚をあまり付けたくないので、全体にサーフェーサーを入れないように塗装します。つまり、1回目より範囲を広げて塗装はするけど、全体には入れないということです。全体塗装するのは3回目でオッケーです。
3回目→ラストです。膜厚がつくようにしっかりと塗装します、3回目はマスキングされた内側全体に塗装してもらってオッケーです。ただ、キワの方は入れ過ぎないように意識しておきましょう。
これで部品サーフェーサーも完了です。このように塗装することで、自然とサーフェーサーが欲しい部品には厚めに入り、キワの方は薄くする事ができます。
あとは、通常通り乾燥させましょう。その際、マスキングはテープ以外は剥がしておいた方が良いかもしれません。何を使ってマスキングしたのかによりますが、ビニールなとで行った場合は熱で溶けて部品に張り付いてしまうこともあるからです。
必須ではありませんが、熱をかけるのであれば、剥がしたほうが無難かもしれません。マスキングテープは安全の為に最後まで貼っておいてオッケーです。
次回は“色“とソリッドカラーを例に、塗装の方法を説明していきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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