自分でエンジンを開けたい人へ【No.3】〜カムシャフトの点検と潤滑装置解説〜

オートバイの仕組みと整備
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 皆さんこんにちは。aohitoです。

 今回は前回の続きのエンジン内の点検です。カムシャフトやロッカーアームについてポイントを解説します。

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 その後はエンジンに必要不可欠な潤滑装置の解説に入っていきます。

 それではいきましょう!

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バルブシートの点検ポイント

 バルブシートリングはバルブと当たる所なのですが、そこの当たり具合が適切かを診ます。当たりの幅が狭いと放熱性が悪くなってしまい、逆に広いとカーボンが溜まって圧縮漏れを起こしてしまいます。

 又、シートリングの摩耗が進んでしまうと、沈みが増加するので、ここも限度値を超えれば交換です。交換した後は、当たり面をすり合わせ、光明丹といわれる朱肉のようなものをシートリング面に塗り、バルブを軽くコツコツとリング面に当てます。すると当たった所の光明丹が落ちるのでバルブがどう当たっていのかわかると思います。この当たりが全周にしっかりと当たっていて、中心がずれていなければOKとなります。

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ロッカーアームの点検ポイント 

 ロッカーアームはバルブとの当たり面を診ます。摩耗や損傷があれば修正か交換となります。

ロッカーシャフトの点検ポイント

 クランクシャフトの点検と同じようにVブロック(切れ込みのはいった台)に乗せて回して曲がりがないかをダイヤルゲージで点検します。摩耗に関しては外形の数ヵ所を測定して、どちらも規定値を超えていれば交換となります。

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タペットの点検

 タペットは外形を測定し、規定値を超えていれば交換となります。又、タペットとカムの当たり面も要チェックです。亀裂やはがれ(フレッティング)、スジ傷(スカッフ)がないかをよく診ましょう。特にスカッフがある場合はタペットが回転していない(正常であればタペットは押されながら回転している)という事なので、その原因を探りましょう。

カムシャフトの点検ポイント 

 カムシャフトはカムの長径と短径をマイクロメーターで測定します。その差をカムリフトといいます。それが、規定値に満たなければ交換です。

 ジャーナル部分も摩耗を測定して、摩耗が限度値を超えていれば交換となります。また、こちらもVブロックに乗せて曲がりを点検しましょう。

カムシャフトベアリングの点検

 ベアリングは内径を測定して規定値を超えていれば交換です。又、ジャーナルとベアリングの隙間が限度値を超えていても交換となります。

タイミングベルト、タイミングチェーンの点検

 タイミングベルト、タイミングチェーンは歯の亀裂やひび割れ、摩耗や損傷がないかをよく確認しましょう。

要点をまとめます

  • 取り外したバルブやスプリングなどは各シリンダー毎に整理して、ごちゃごちゃにならないように整理しましょう。
  • カムシャフトベアリングは軟質の金属が多いので、傷つけないようにしましょう
  • バルブスプリングが不当ピッチ(ばねの隙間が一定ではないものを言います。こうすることでサージング=スプリングの異常振動を防ぎます)の場合は隙間が小さい方を座面にしましょう。
  • 組み付けの際にはナットなどを規定トルクで締め付けた後、軽く回るか、軸方向の遊びが正常か確認しましょう。
  • タイミングチェーンを組む際は合いマークにしっかり合わせましょう。ここがずれていると、バルブとピストンが接触してしまい、ステムが曲がったりしてしまうので要注意です。
  • ロッカーアームはインレットとエキゾースト側で形状が違う事があるので、ここも間違えないようにしましょう
  以上が主なエンジン内部の点検ポイントになります。
 実際はエンジン毎にそれぞれポイントがあり、状態にも応じて重要ポイントは変わります。
 ただ基本的なところは共通しているので、自分でエンジンを開けて、一つ一つ確認しながらじっくりエンジンと向き合うのも良いかもしれません。

潤滑装置の基本を解説

 ここからはエンジンに必要不可欠な潤滑装置について解説していきます。

 エンジンと言わずとも身の回りの動く部分や、こすれる部分などには潤滑目的のグリスやオイルなどが塗られているパターンが非常に多いでしょう。自転車のギアやチェーンにスプレーを吹くのもそうです。動きの悪い窓やサッシに行うのも同じです。

 要はオイルやグリスによる油分で膜厚を形成し、物体同士の摩擦抵抗を減らす事が目的となっています。又、エンジンに関しては冷却も大きな目的となっています。

 エンジンの中ではたくさんの金属部品が高温高速で動き続けているので、この潤滑が止まったら様々な所で故障が起きます。それだけこの潤滑装置というのは非常に大切になってきます。

 特にオートバイのエンジンは4輪車より高出力であり小さく設計されているので、オイルに対する要求も4輪車とは異なってきます。なので、4輪車用オイルをオートバイに使ってはダメですよ!その辺りは別記事で細かく紹介していきますね。

基本的なオイルの流れ

 オイルの潤滑装置の仕組みとしては、オイルパンに貯められている(ヤマハSR400などのドライサンプ式はオイルパンを持ちません)オイルをオイルポンプが吸い上げ、オイルフィルターでろ過され、各部に送られていきます。

 オイルの流れとしてはオイルパン→オイルストレーナー(ここで大きめの異物を取り除く)→オイルポンプ→オイルフィルター(ここで更にろ過されます)→オイルギャラリー(シリンダーヘッドやシリンダーブロックに設けられた通路)→ピストンやクランクシャフトに送られる→潤滑を終えてオイルパンへ。

 こんな感じになっています。途中、オイルギャラリーにはオイルプレッシャースイッチが取り付けられていて、ここで正常な油圧が掛かっているかを診てくれています。よくメーター内にあるものがインジケーターとなっていて、異常があれば、そこが光って我々に教えてくれるというわけです。

オイルポンプ仕組み

 オイルポンプは分かり易く説明すると、中に組み込まれた複数のギアが回って負圧を生み、その負圧がオイルを吸い上げ、各部に圧送していきます。

 4ストロークエンジンには主にトロコイド式オイルポンプが採用されています。これは歯数の違う2つのギアを組み合わせたもので、外側のアウターローターの内周にインナーローターが偏心して組まれています。インナーローターがポンプシャフト(回転軸)により回されるとアウターローターも回り、そこに生じる容積の変化により負圧が生じてオイルが吸入され、その後、圧送されます。

 オイルポンプにはリリーフバルブという物がついていて、圧力が一定の値を超えるとオイルをオイルパンに返してくれる仕組みになっています。

オイルフィルター

 オイルに混入している金属粉やカーボンを、ここでろ過していきます。

 なので、せっかくオイルを交換したのに、フィルターが汚れたままでいるのは勿体ないですよね?なので、オイルとフィルターは同時に交換してしまうのがベストでしょう。実際は毎回変える必要もないですが、ベストは一緒に交換です。

 内部には、じゃばらに折られたエレメント(フィルター)があってそこをオイルが通過してろ過されます。

 万が一、汚れによってエレメントが詰まってしまっても、バイパスバルブが開いて(詰まりによって圧力が高まると開きます)エレメントを通さずにオイルを潤滑させてくれるので、安心です。

オイルパン

 オイルパンはオイルの溜まっている場所です。

 基本的にはシリンダーブロックの下部に取り付けられています。ここにはドレンプラグが付けられていて、オイル交換の際にはここからオイルを抜きます。

 ドレンプラグにはマグネットが付いている物もあって、オイル内の鉄粉を捕まえてくれる働きがあります。又、走行風が当たるので、オイルの冷却にも一役買っています。

オイルポンプの点検ポイント

 オイルポンプの分解点検ポイントは、内部のギアの摩耗です。シックネスゲージ等で隙間を測り、規定値を超えていれば交換です。ギアが摩耗して密閉性が弱まり適切な負圧を作れなければオイルを吸い上げる事が出来ないですからね。

 又、リリーフバルブスプリングの損傷等も点検しておきましょう。ここが損傷してしまうと、適切な油圧が保てなくなってしまいます。

オイルフィルター交換の際に気をつけるべきポイント

 オイルフィルター交換は、ご自分で行われている方も多くいらっしゃるかと思います。取り付けの際はまず、取り付け面を綺麗に清掃しましょう。

 その後、オイルシール部を傷めない為にオイルを薄く塗布してあげて下さい。最初は工具を使わず手で締まる所まで締めて、最後に規定トルクで締めて下さい。

 ドレンワッシャの交換も忘れずに!ドレンワッシャはつぶれる事で強く密着して、気密性を持つので、再使用はしないようにしましょう。

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オイル交換で一番困るのが廃油の処理かと。こういうのがあると非常に早くて楽ですね。

次回は冷却装置です。

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ここまで、読んで頂きありがとうございます♪

コメント

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