インテーク/エキゾーストバルブについて〜自分でエンジンを開けたい人へ【No.1】〜

オートバイの仕組みと整備
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 皆さんこんにちは。aohitoです。

 今回はエンジン基礎編の続きから、インテーク/エキゾーストバルブについてです。

エンジンの基礎〜種類と各部の名称〜
エンジンの始まり  皆さんこんにちは。aohitoです。  今回はエンジンの基本的なところにについて解説していきます。  一口にエンジンといっても、種類は様々で目的にあわせたものが開発されてきました。  熱エネルギーを利用するエンジンとして

 又、これからエンジンを自分で開けてみたい人が参考になるような事も記載していきますね。

それではいきましょう!

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エンジン各部の名称と働き(続き…)

インテークバルブ/エキゾーストバルブ

 燃焼室の蓋になる部分です。ここがカムシャフトによって開いたり閉じたりを繰り返して吸気、圧縮、排気、をさせています。

  一般的にはエンジンの回転数が低いときは、バルブを短時間で少し開き、逆に回転数が高いときは、バルブを長い時間大きく開ける方が良いとされています。

 又、バルブオーバーラップといわれる、両方のバルブが空いている時間があります。バルブオーバーラップはエンジンの個性を出す上で、とても大切なポイントになります。

 前述したように、エンジンの回転数によって最適なバルブタイミング(開閉タイミング)は違います。それをカバーしようとしたのが、可変バルブタイミング機構。ホンダのV-TECなどが代表的な例です。あれは回転数によってバルブタイミングを変えて、高い吸気効率を得ようとしているわけです。

カムシャフト

 燃焼室上部でインテークバルブ/エキゾーストバルブを開け閉めするシャフトですね。この部品がクランクシャフトと連動して動く事でバルブを動かしています。

 よくハイカム(ハイリフトカムシャフト)と言われるカスタムパーツがありますよね?(カワサキのZX-12Rは標準装備されていたようです)あれは、カムシャフトを変更することによって、バルブタイミングやバルブリフト量を変えて、高回転寄りなエンジン特性に変えるのが目的になっています。

ロッカーアーム

 カムの動きをバルブステムに伝えて開閉させる為のものです。

インテーク/エキゾーストバルブについて

 ここで、バルブについてもう少し詳しく解説していきます。

 バルブ機構は適切なタイミングで開閉を繰り替えし、混合気の吸入、燃焼室の密閉、燃焼ガスの排気を行っています。

 インレットバルブが吸気を、エキゾーストバルブが排気を担当していて、一般的にはインレットバルブが大きく、エキゾーストバルブが小さかったりします。

 理由としてはインレットバルブの方が吸入圧力が低いので、径を大きくする事で空気の吸入量を増やしています。逆にエキゾーストバルブの方は排気圧力が高いので、径を小さくする事で排気を抑えバランスを取っています。

 バルブの摺動部分(バルブガイド)にはオイルシールが取り付けられていて、オイル下がりを防止しています。オイルシールの摩耗によりオイルが燃焼室に入ってしまうと、オイルの減りが早くなり、マフラーから青白い煙が出てくるようになるので、要注意です。

どうやってインテーク/エキゾーストバルブは動くの?

 では、バルブはどういった仕組みで動いているのでしょうか。

 バルブを動かすのはクランクシャフトが行っています

 クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝え、カムシャフトの回転がバルブを動かしています。カムシャフトはクランクシャフトとタイミングベルトやタイミングチェーンで連動しています。種類にはOHV(オーバーヘッドバルブ)型とOHC(オーバーヘッドカムシャフト)型の2種類があります。

OHV型

 OHV型はシリンダーブロックにカムシャフトを要し、タペット、プッシュロッド、ロッカーアームを介してバルブの開閉を行っています。

OHC型

 OHC型はカムシャフトをシリンダーヘッドに設けて、クランクシャフトからの動力をタイミングベルトかタイミングチェーンを介してカムシャフトを動かしてバルブの開閉を行います。

DOHC型

 DOHC型はインレットバルブとエキゾーストバルブ、それぞれにカムシャフトを用意したもので、高スペックエンジンは、ほぼこれにあてはまります。細かな制御が可能で、伝達ロスが少ないのがメリットですね。

「自分でエンジンを開けて点検、修正してみたい!」

 ここからは、「自分でエンジンを開けて点検、修正してみたい!」という方向けにポイントをまとめました。「そんな事は怖いからバイク屋さんにまかせるよ」って方も知識として、知っておいて損はないと思います。

シリンダーヘッドの点検ポイント

 高温(2000℃くらい)高圧になるエンジンの上側です。良く腰上なんて言うところですね。ピストンの頭の辺りから燃焼室がある辺りです。そこのポイントとしては

  • バルブシート周辺にカーボンが付着している。→圧縮漏れの原因になります。
  • オイルが異常に付着している。→バルブステムとバルブガイドの隙間からオイル下がりが起きているかもしれません。
  • サビや水アカが発生している。→クーラントの性能が十分に発揮出来ずに、エンジンが過熱気味になってしまうかもしれません。
  • ホコリや異物がインレットポートに付着している。→エアクリーナーが性能を発揮していないかもしれません。洗浄か交換してあげましょう。

 全部が綺麗になったら、目視で良く点検して、亀裂や歪みがないかよく確認しましょう。

 オーバーヒートしたものや、締め付けトルク、締め付けの順番を誤ったものは微妙に歪んでいるかもしれませんので、ストレートエッジやシックネスゲージといった工具を用いて、正確に判断するのも良いでしょう。

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 シリンダーヘッドを外すときは必ず冷えているときに行って下さい。熱をもったものを外すと歪みを生む原因になります。

 又、外側から2.3回に分けてボルトを緩めていくのもポイントです。一気に緩めると歪む可能性が有るので要注意です。その際、異なる長さのボルトを用いている事もあるので気をつけてくださいね。組み付け時にわからなくなると結構焦りますよ?笑

 シリンダーヘッドの組み付け時はガスケットの向きがポイントです。位置決めのピンなどあると思うので間違えないように。

 又、パッキン類やOリング等は全て新品交換が推奨です。締め付けの際は、緩める時の逆に行います。つまり、内側から外側に向けて2.3回に分けて行います。最後にトルクレンチで規定値になる様にしっかりと確実に締め付けましょう。

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シリンダーの点検ポイント

 シリンダーの点検です。ポイントは亀裂や損傷、内径の摩耗になります。

 シリンダーの摩耗が進んでいると圧縮不良やオイル上がりなどの原因になります

 摩耗の見方としては上部、真ん中、下部の3か所、それに加えて、その軸を90度ずらした上部、真ん中、下部の3か所です。合わせて6か所が計測ポイントになります。

 摩耗が規定値を超えていれば、ボーリング及びホーニング加工を行いオーバーサイズのピストンに変えるか、シリンダーライナーを変えるといった修正になると思います。

 シリンダーブロックもシリンダーヘッドと同様にサビや歪み、亀裂などを診てあげるといいでしょう。又、水路や油路のつまりなども要チェック箇所です。

ピストンの点検ポイント

 ピストンは頭部やリングの溝に体積したカーボンを取り除いてあげてください。又、亀裂、摩耗、ひっかき傷などがないか、よく診てあげてください。

 溝とリングの隙間もシックネスゲージで診てあげると良いでしょう。ここが空き過ぎているとオイル上がりの原因になってしまいます。そういう場合はピストンとリング、セットで交換してあげて下さい。

 ピストンは側面が曇っているくらいがベストです。光ってツヤが出ていたら当たりが強すぎて磨かれているかもしれません。

 オイル戻し口もよく清掃してあげてください。オイル戻し口が詰まっていると掻き落としたオイルがピストン内に逃げずオイル上がりの原因となってしまいます。

 ここで、ポイントとなる現象について触れておきます。

  • スカッフ現象→ひっかき傷の事を言います。主にオーバーヒートや油膜切れによっておこります。
  • フラッタ現象→叩かれ摩耗。ピストンリングの幅や溝が摩耗する事で起きます。
  • スティック現象→固着や焼き付きを言います。主にカーボンの噛み込みによって起こります。

 併せてピストンピンも点検します。摩耗や亀裂がないか診てあげましよう。

ピストンリングの点検

 ピストンリングは合い口隙間を測定します。

 ピストンリングは完全に輪になっているわけではなくアルファベットのCのように隙間が空いています。これは熱による膨張を加味した設計になっています。

 隙間を計るときのポイントは、比較的摩耗の少ない、シリンダー下部で行うことです。一番摩耗しやすい上部で計測は行わないようにしましょう。

 ピストンを取り外すときの要点としては、ピストンを下死点にして、木片などを介して軽くトントン叩いてあげましょう。この時、ライナー内のカーボンを除去しておくと良いでしょう。

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プラハンがあると作業が捗りますよ。

 次回に続きます。

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 ここまで読んで頂きありがとうございました♪

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