皆さんこんにちは。aohitoです。
前回に引き続きブレーキについてです。
今回はブレーキ液とディスクブレーキの種類について解説していきます。
それではどうぞ!
ブレーキ液の基本
では、ブレーキ液について解説していきます。ブレーキ液はブレーキオイル、ブレーキフルードという呼び方もします。
ブレーキフルードは前述したように油圧システムにおいての肝となるものです。液体は圧縮する事が出来ないという性質を生かして、力の伝達に利用しているのが油圧ブレーキです。
なので、このブレーキフルードにも高い性能が要求されます。安定性の低いものにブレーキという生命に関わる大切な部分を任せられないですよね?
特に最近の二輪車は性能がどんどん高まっており、最高スピードも伸びてきています。それに伴ってブレーキの性能も上げていかなければバランスの良い車両は作れません。
そういった面から、ブレーキパッドの材質も変わってきたので、フルードの説明をする為にも、まずブレーキパッドについて簡単に説明しておきます。
ブレーキパッドの基本
以前はセミメタルパッドというブレーキパッドが主流で純正品としても多く採用されていました(特別に古いモノっていうわけではありません)
材質はアスベストと金属粉を混ぜ合わせてもので、それに添加物を加えて成型しています。
その後、より高性能で制動力の高いシンタードパッド、別名焼付パッドが出てきました。焼付パッドはアスベストなどの樹脂を含めず金属粉のみを焼き固めたものです。摩耗が少なくて、耐熱性も高いのでブレーキにも安定性が高まります。
しかし、熱伝導が良いのでブレーキフルードにも熱が伝わり易く液温を上昇させてしまうという面もあります。
ブレーキフルードの特性
こういった理由からブレーキフルードにもより一層厳しい条件が要求されるようになってきたのです。
ブレーキフルードはどんな環境下でも安定してバイクを減速、停止するための動力を伝達する媒体です。求められる特性として下記があげられます。
- 沸点が高く、すぐに沸騰しないこと
- 高い潤滑性をもっていること
- 金属やゴム部品を侵さないこと
- どんな温度でも安定性があること
などが挙げられます。中でも、ブレーキフルードを理解する為に大切なポイントが沸点です。後述しますが沸騰するとブレーキが効かなくなる現象が起きるのでとても重要な性能になります。
こういった面から『DOT』という規格のものを殆どのメーカーが推奨しています。
DOTとはアメリカの交通省 Department Of Transportationの略称で、日本でいうJIS規格みたいなイメージです。
DOT3,DOT4,DOT5などがありますが、違いとしては沸点温度になります。
DOT3に比べてDOT4の方が沸点が高く作られています。なので、こちらの方が沸騰しにくいので殆どの国産車ではDOT4が推奨されています。ちなみにハーレーはDOT5、BMWはミネラルオイルなど国産とは違ったブレーキフルードが推奨されていますね。
ブレーキフルードの扱い方とベーパーロック
フルードには要求される重要な性能があって、その1つの目安としてDOTがあるというのが今までの簡単な流れです。なんとなく理解できましたか?
では次にブレーキが効かなくなる現象=ベーパーロックについて説明します。
油圧ブレーキシステムでフルードが高温になり沸騰すると内部に気泡が発生する事があります。気泡が発生すると動力伝達が正常に行われず、制動力が大きく低下することがあります。この現象をベーパーロックといいます。
ブレーキフルードは水に溶けやすい性質をもっているので、空気中の水分を吸収してしまいます。すると、フルードの沸点温度が下がりベーパーロックが起きやすいフルードという事になってしまいます。なのでブレーキフルードは定期的に交換する必要があるのです。
以上のことを踏まえてブレーキフルードの扱い方をまとめました。
- 吸湿によって沸点温度が下がるので定期的な交換する
- 吸湿を防ぐために密閉された容器で冷暗所に保管する
- 塗装やプラスティック、ゴムを痛める性質があるのでもしフルードが付着したらすぐに大量の水で洗い流すこと。
- おかしな現象を起こさない為にも、違う銘柄のものを混用しない
- 一度抜いたフルードは吸湿していたり、ゴミをふくんでいる可能性があるので再使用しない
- 異常に汚れている場合は交換時期問わずに交換する。
以上がブレーキフルードを扱う際の主な注意点です。
特に気をつけないといけないのフルードをこぼした時の対処法ですね。
僕はペイントショップにもいたので、フルードをこぼしてしまい入庫してくるタンクが何件もありました。
フルード交換中フルードが飛んだことに気づかなかったとか、こぼした後の対処が遅かったなどで、塗膜が侵されてしまっていました。
ガソリンでもそうなんですが、こういった液体で塗膜が侵されてしまった場合は下地まで到達してしまっている可能性が非常に高いです。なので、表面だけ軽く研いでも全然落ちなかったりするんですよね。
なので、そういう場合はその辺り一体の塗膜を、全て落とす必要が出てきます。そこだけ簡単に直すというのはなかなか難しい場合が多いので費用も高くなりがちです。
なので、フルードを扱ったら必ず洗車を行うか、水をジャージャーかけてあげて下さい。又、もし作業を自分で行うのであれば、布をかけとくなどしてしっかりカバーする事を心がけて下さい。
以上がブレーキフルードについての解説です。基本的な事ではありますが、非常に大切なポイントでもあります。 特に自身でフルード交換をする際には、十分に注意して作業を行って下さい。
ディスクブレーキの種類
ここからはディスクブレーキについてです。
現在主流であるディスクブレーキにはどんな種類があるのでしょうか?
主なものを紹介します。
型押しピストン
ひとつのピストンに油圧が掛かり、片側からディスクを押さえつけます。すると、その反作用によりキャリパーがスライドして両側のパッドでディスクが挟み込まれる仕組みになります。これはスライドピンを使用する事で横方行の移動量を持たせているからです。
これにより、片側ピストンで十分な制動力を発生させ、コンパクトな構造にすることが可能となった為、多くのバイクに使用されています。
対向式ピストン
型押しピストンのように、キャリパー本体が移動する事はなく固定されています。
その状態で両側のピストンが油圧により押されて両側からディスクを挟み込みます。スポーツ系モデルの異形4ポッドキャリパーなどに使用されていますね。
異形キャリパー
異形キャリパーとは2ポッド4ポッド問わずに、それぞれのピストンの系が違うものを言います。異形キャリパーは本体が長くなり、リーディング側(前方に進む際に地面に近い下側)がピストン系が小さく、トレーリング側(リーディングの上側)の方がピストン径は大きく設定されています。
これはセルフサーボ効果の違いによる作動面での違いによるものです。
※セルフサーボ効果は前回の記事で話しています。
ディスクブレーキが制動力を得るためのポイント
ディスクブレーキにおいての制動力のポイントの一つとして、ホイールのセンターからパッドの距離があります。
ホイールのセンターを支点として、パッドにかかる力を力点としたこの距離を有効ディスク径と呼び、この距離が長いほど制動力を高める事が可能です。
しかし、この距離を長くするにはディスクの径を大きくする必要があるのですが、それはバネ下荷重を増やしてしまうというデメリットを併せ持ってしまいます。
ディスクの径を大きくせずに制動力を高める方法として、ブレーキパッドの面積を増やすために長方形にするというものがあります。
パッド面積を増やすと1つのピストンでは均一に力を加える事が難しくなります。なので、ピストンを片側に2つ設けて長方形のパッドにする事で、均一に力を加える事を可能にしました。それをデュアルピストンキャリパーといいます。
パッド面積を増やすと制動力は高まるのですがその分、熱も持ちやすくなります。それは、ブレーキシステムに好ましくないのでブレーキディスクには高い放熱性が要求されます。(ブレーキディスクについては次回、話していきます)
今回はここまでとなります。次回はブレーキに起きる異常現象とブレーキングのポイントについてです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
コメント
[…] […]
[…] […]